プロローグ
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―――どれだけ時間が過ぎたのか
私は雨に打たれ続けて冷えた体をゆっくり起こし、通り雨もとうに過ぎた水色の空を見上げた。
『わっ!』
と、そこに立ったまま、同じく雨に打たれびしょぬれの少年を見つけ、思わず声を上げてしまった。
『あっ…え!?あのっ、さっきはゴメンなさい!!
えっと悪気があったわけじゃなくて、知り合いと間違えちゃって!!
てゆーか!大丈夫!?
構わずここの岩場に入ってればよかったのに!』
私は慌てすぎて次から次にまくし立てる。
「…ああ、いや、大丈夫だが…」
少年は何故か暗い顔。
『あ、タオル持ってないとか?ハイ、私の一枚あげる』
差し出されたタオルを見つめたまま、少年は動かない。
『?』
私は立ち上がり、そのタオルで少年の髪を拭きだした。
少年はハッとした顔をしたが、拒絶はしなかった。
「君は…何故こんな所に?」
『私は今日修行を終えて、今から一人旅なの!
名前はリン!あなたは誰?』
「私は…」
ドォ――ン………
彼の唇がその名を紡ごうとした時、大きな銃声が山に響き渡り、鳥達が一斉に木々から飛び立った。
『「!!?」』
私たちは顔を見合わせ、
音の聞こえた方へ走った。
『何?どうしたのかな!?』
「わからない。狩生か、誰かが襲われたか……
しかし普通の銃にしては発砲の音が大きすぎる」
銃声がした方向には、師匠がいるはず。
嫌だ……嫌な予感が、止まらない……!!
しばらく山を登って、
私たちが見たものは…………
血の海に沈む人間と
大きな黒いオーラを放つ一人の男………
手には念で細工された強力な銃
そして私は………
『……師匠……』
そこに倒れていたのが
さっきまで一緒にいて、ずっと私を守って育ててきてくれた大切な人だという事に気付いて
ゆっくり、歩み寄った。
「おいっ待て!」
フラフラと出ていく私を、彼が止めようと声をかけたけど
その時の私の耳には何も聞こえていなかった。
ただ、
そこにいる師匠を
血の海から救いあげたくて…………
その時だった。
ドォォォン!!
その黒いオーラの男は、私の存在を認識するなり迷わず引き金を引いた。
念で細工された、通常より遥かに威力の増した弾丸は
肩を掠めただけで私の体ごと後ろへと吹っ飛ばした。
「リン!!」
不可抗力で受け止めざるを得なかった彼共々、山を転がりおちた。
最後に見た光景は
そいつの逃げていく後ろ姿だった────
~続く~