最終話・始まり
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「んじゃまあ、とにかくラタルの門出を祝して乾杯でもすっか!」
レオリオが皆の空いたグラスに酒を注いで回る。
「そうですね!成長したラタルくんに!」
「リンちゃんとラタルくんのハンター試験合格祈願に!」
「リンと二人で絶対合格して来てね!!」
「ったく…ヒソカみたいなのがいなきゃいーけど」
「何はともあれ、二人の無事を祈って────」
「「「乾杯───!!!」」」
───そして、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
年が明けるとすぐ、クラピカは協会の仕事で家を空け、ラタルとリンもとうとう試験の日を迎えた。
『キリコさん、まだこの案内人の仕事してたんだ~』
「ま、一年に一度だが、なかなか楽しいから続けてるよ」
「母さんの事覚えてるのか?」
「もちろん。銀髪ツンツン頭の少年と一緒だったな。キルアっつったっけ?ゴンの友達の。
あいつは次の年にまた来たけど。あいつやゴンは元気か?」
『めちゃ元気!多分、変わってないよ!』
楽しくおしゃべりしながら、試験会場まで案内して貰った二人。
『じゃあね、キリコさん!』
「ああ、もう二度と俺のとこには来るなよ!!」
つまり合格しろよ、という意味。
ラタルとリンは顔を見合わせて笑い、一次試験の会場へと入っていった。
リンがハンター試験を受けたのはもう15年前。
しかしあの頃と同じようにすごい数の人間が早くも会場を埋め尽くしていた。
『さぁて、今年はどんな試験かな?』
「緊張するが楽しみだな」
入り口でプレートを受け取ると、すぐに受付終了と試験開始のベルがうるさく鳴り響いた。
「これより、一次試験を開始する」
『あっ……!!?』
「なっ…!!!」
なんと、袖の入り口から受験生の前に姿を現したのは──────
「私が一次試験の試験官を担当するクラピカだ」
『なななな!!クラピカぁ!!?』
「父さん!!」
五百人近い受験生の中から二人の姿を見つけると、クラピカは微かに微笑んで小さく頷いた。
「一次試験は"鬼ごっこ"だ。鬼は君達の方。この扉の向こうの森で私を見つけ、体に触れる事ができればオーケーだ。
当然、私は逃げるし隠れる。ダミーも用意している。
ただ、衣服に触れても私が感知できるようにしているので、指一本でも触れた者はその時点で通過だ。
一時間という時間制限に加え、先着20名限定。それを踏まえた上でよく考え、他者と協力する事も構わない」
内容の発表を終えると、去り際にクラピカは二人に向けて挑発的な視線を残して行った。
贔屓はしない
私を捕まえてみせろ
できるものならな
「…では、30秒後にスタートだ。健闘を祈る。
マーメンさん、お願いします」
隣に控えていた助手らしき人物がカウントを始め、クラピカは扉の先へと消えて行った。
「…これは何が何でも負けられんな」
『うん!絶対捕まえよ!!クラピカにいいとこ見せなきゃね!!』
二人は拳を突き合わせ、カウントダウンが終わるのを逸る気持ちで待った。
リンの隣りで武者震いをするラタルの瞳は、煌々と緋色に燃えていた。
今年もまた、世界中から多くの猛者がハンターを目指して集い、この会場にやって来た。
今回はどんな仲間に巡り会うのか
どんなドラマが待っているのか
繰り返される出会いと別れ。
夢や希望に溢れた未来を勝ち取るのは誰か。
今、また新たな物語が始まるのだ。
****完****
長い間、お付き合い下さいましてありがとうございました!→NEXT後書き☆