最終話・始まり
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「それじゃあさ、リンもラタルと一緒にハンター試験受けに行ったら?」
ゴンの発案に、リンの涙がピタリと止まった。
ゴンからしてみれば、当然考えた事があるものだと思っていた。
「し、しかしお前…リンも長いこと前線から離れてるしよ、体も鈍ってんじゃねーか?」
「何より必要ねーだろ!寂しいからって理由で受けに行くなんて意味ねーよ!」
「やめとこ?リンちゃん!」
「お二人がいない間はうちに来て過ごせばいいですよ!ヤヌも喜びます!」
周りが一斉に止める中、ずっと沈黙を守っていたクラピカが口を開いた。
「…リンの意志に任せよう。お前が受けたいならそうすればいい」
予想に反するクラピカの言葉に、皆の視線が集中する。
「なっ…本気かよ!?あのハンター試験だぜ!?(俺らは余裕だったけどリンの実力を考えると)何かあったらどーすんだよ!!」
「リンなら大丈夫じゃない?」
「バカ、死ぬかも知れねーだろ!!」
ラタルはリンを胸に抱いたまま、クラピカに問いかけた。
「俺が心配なの?母さんが心配なの?」
「ラタルの事は心配していない。きっと問題なく合格するだろう。
リンの事は…恐らくこの先もずっと心配だから、お前が一緒にいてくれるなら助かる」
そう話しながら元の席に腰掛けるクラピカに、キルアは声を荒げて抗議を続けた。
「つーかクラピカがそんな甘やかすからリンがこんなに弱くなるんだろ!?
コイツの性格を考えれば必ずどっかでドジ踏んだり余計なお節介とかして自分から危険な事に首突っ込むんだよ!」
リンの危険は絶対阻止したいキルアは、いっそリンに嫌われてでもと、断固反対の姿勢を崩さない。
「だからラタルがいる時がいいんだ。
甘やかしていると言われればそれまでだが、とにかく後は本人に決めさせよう。
リンがいつか一人で受けるよりは安心だしな」
『そうする!!ぜったいそうする!!ラタルと試験、受けに行く!!』
パァッと明るい声で決意を表するリン。
ラタルは眉を下げて肩を竦め、諦めたように溜め息を吐いた。
「でも…危険なのに…」
しゅんとなるメイカを、今度はリンがよしよしと宥める。
『大丈夫!!私、強いよ!!』
「止めとけって!!」
「いや、もう止めても無駄だろ」
リンの性格を知る一同は、キルア以外、早くも諦め気味。
「仕方ないな…
キルア、心配はいらない。俺がちゃんと母さんを守る」
ラタルは微笑みを浮かべ、頼もしい声で宣言した。
『ラタルありがとね!大丈夫、私がラタルを守るから!!』
「ああ、頼りにしている」
おべっかも忘れない。
「うふふっ、ホントにラタルくんてば素敵に成長したね!!将来が楽しみ~~!!」
『でしょ!?リルルのお婿さん候補だからねっ!』
生まれる前から決めていた、親同士の半ば本気の約束に、ラタルはプイッと無視を決め込む。
「しかし、ラタルは何故ハンター試験を受けたいんだ?」
クラピカは親として、真剣にラタルに問いかけた。
「ハンターになってゴンとキルアと一緒に旅をしたい。足手まといにならないくらいの力が欲しい」
『ラタル……』
―――それは初めて明かされるラタルの本音。
密かに培っていた夢だった。
羽ばたきたい、広い世界に。
色々な事を知りたい、この目で見たい、仲間が欲しい、自分の力を試したい。
ラタルはもうずっと前からそう思っていたのだ。
『…行っちゃうんだね…ラタル…』
ついこないだ生まれたばかりだったのに
あんなに小さな赤ちゃんだったのに
……大きくなったね、ラタル……
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