運命
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一行を乗せた船は、来る時と同じように海の上を一週間漂った。
リンは初めて見た母の顔を思い出し、温かい気持ちで帰る事ができた。
幻でも、私に会いに来てくれた
ラタルを見せる事ができて本当によかった…
ラタルの寝顔を見つめながら、母に心から感謝した。
そして、長い長い一週間はようやく過ぎ、船は無事に出発点に戻って来た。
「おかえりなさいませ、会長!」
そこにはネテロを迎えにきた数人の黒服が待っていた。
「何だかやっぱり疲れましたね、流石に…。
今日はうちに泊まりませんか?」
グレスが、リンとクラピカにそう声をかけてくれた。
『いいよ、大丈夫!今日は久々にヤヌさんと会えるんだから二人でゆっくりしなよ!』
「ああ、我々は空港から近いホテルをとって、明日の一便で帰るとしよう」
二人は気を利かせて遠慮した。
そして別れの時。
ジュエリストの真実も明らかになり、ひとつの区切りはついた。
きっと暫くは会う事もないだろう。
リンとグレスはしっかりと手を取り合って最後の言葉を交わす。
「貴女のお陰で俺は最後に皆に会う事ができました。ありがとうございました」
『また会おうね、グレス!ジュエリストの島は消えても、私達が仲間である事は変わりないんだし!!』
「もちろんです!!また会いましょう!!…どうか、それまでお元気で…」
―――クラピカとの初めての旅行で運命的に再会したグレス。
スリなんてしてたのに、今はその陰もないね
素敵な人になった…
私の大切な仲間
また、会おうね!!
グレスと別れ、会長にも挨拶を済ませてから、クラピカとリンはタクシーを捕まえてホテルに向かった。
空港から徒歩二分程のホテルにチェックインし、部屋に入るなり、クラピカはソファーにバタンと倒れ込んだ。
『わお!大丈夫!?』
リンは寝ているラタルをベットに降ろし、クラピカの傍に寄った。
「…疲れたな…」
うつ伏せに顔を伏せたまま、下敷にしているクッションに声を篭らせるクラピカ。
リンはその背中にピッタリと頬をくっつけた。
『そだね…でもクラピカがバテるなんて珍しい』
「ああ…何故だろうな。安心したからだろうか…」
『…心配してたの?』
「島に行くまではな。だが、今は何も。お前が消える事はないとわかったから…」
グレスと再会し、リンが死ぬかも知れないと聞いた時から今まで、ずっとずっと不安だった。
ラタルが生まれてからも、その不安はまだ完全に消える事はなかった。
島へ行けば何かがわかる。
そう言われて向かってはみたものの、もしかしたら " 彼等 " はリンを二度と返してはくれないかも知れない。
根拠のない事ばかりを心配した。
クラピカは体を仰向けにし、リンの頭を胸に抱いた。
リンも久しぶりにゆっくりとクラピカに甘え、温かい彼の鼓動に瞳を閉じた。
『なんか…長い事こうしてなかった気がするね』
「そうだな」
リンはおもむろに頭を上げ、自分を見上げているクラピカにキスを落とした。
柔らかく重なる唇。
クラピカも瞳を閉じる。
『…これも久々だねっ』
唇が離れると、リンは気恥ずかしそうに笑った。
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