ベールの向こうー後編ー
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ラフラスは、ルビーの足元で横たわる産まれたばかりの赤ん坊を見て、その姿に驚愕した。
変わり果てた自分と同じ、体中に沢山の宝石を付けている。
そして殊更大きくて輝きの強い、赤い宝石……
その子の胸でしっかりと存在を主張していた。
リンクル・ダークは元々黒い宝石だ。
黒曜石より深い黒なのに、角度を変えればそれよりも透明で強い輝きを持つ、二つとない不思議な石。
しかし赤ん坊が胸に抱いていたのは真っ赤な宝石。
…そう、まるで "ルビー" のように…
ラフラスはその子を強く抱き締めた。
「…そこにいるのか?ルビー…俺を…見ているか…?」
腕の中で切な気に泣き続ける赤ん坊を、ラフラスはただ抱き締める事しかできなかった。
百代にも及ぶ呪い
しかしその向こうにはルビーがいる
彼女を待つと約束したんだ
待っている
いつまでも
百代でも、何千年でも、この星が果てるまで
君を待ち続けるよ、ルビー…
永遠の愛を誓って──────
それがジュエリストの起源。
神が生んだとされた一族の真実だった。
島がリンクル・ダークの光に包まれた時、二人の祖国から舟で四、五時間ほどの場所に浮かんでいたはずの島は、世界で一番広い海の真ん中に飛ばされた。
全てから隔離され、彼等はジュエリストとして百代もの世代交代を送った。
たった一人の女神が見守る中で、罪を償う為に。
そして永い永い時間を越えて、漸くその時は訪れた。
百代目の女神が産まれた。
それがリンだったのだ。
ルビーの話を聞き終え、静かに涙を流すリンの肩を、クラピカはただそっと抱いていた。
『…ルビー、辛かったね。寂しかったね…』
リンの言葉に、ルビーは微笑み、首を振った。
" 確かにリンクル・ダークの中は真っ暗で冷たかったけど、時の流れは永遠のようで一瞬だった
それに、彼が待ってくれてると信じていたから… "
「今、貴女は幸せなのか?」
クラピカは、リンとラタルを胸に抱き、ルビーを真っ直ぐ見つめて尋ねた。
" 幸せだわ。とても。何故なら…… "
ルビーの笑顔で、二人はそれが何を意味するのかをすぐに悟った。
『よかったね、ルビー!会えてよかった…!』
ルビーの想いが手に取るようにわかる
二人は会えたんだね
永い時を越えて、ようやく全ては許された
そして、二人の約束も果たされたんだ
" ありがとう。最後の女神……リン。さようなら。
大切な人と、どうか幸せに生きてね "
『うん!ずっと二人でいられたら幸せだもん!!ありがとう、さよなら、ルビー!!』
リンがそう言うと、ルビーは一筋の涙を流し、手を振った。
その瞬間、今まで周りで輝いていた星々が一気に一点に吸い込まれていき、三人はいきなり床が抜けたようにその空間から落ちていった。
『ぎょわぁぁあああ!!』
「うるさい!」
耳元で叫ばれ、不機嫌な声を上げるクラピカ。
どこまでも果てなく落下していく感覚に、クラピカとリンは意識を失った。
そして目覚めると、例の神殿で三人揃って倒れていた。
「リンさん!クラピカさん!大丈夫ですか!?」
目を開けると目の前にはグレスがいて、必死に二人の名前を呼んでいた。
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