ベールの向こうー後編ー
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" ルビーの魂を我の中に閉じ込める
そしてお前達には百代続く呪いをかける
たった一人、ルビーの直系の子孫を代々女神に立て、ルビーの魂を封じた我の贄(にえ)にするのだ "
───代々、必ず生まれる女神
その女神の胸に、我は宿ろう
お前達が百代の呪いを遂げるところを
しっかりとこの目で見届けるまで────
リンクル・ダークの声を聞きながら、ラフラスは自分の体の異変に気が付いた。
「なっ…なんだ、これは…」
手に、額に、足に、体中に、みるみる何かが浮かび上がってくる。
キラキラと眩く輝く、色とりどりの“それ”が……
" お前達はこれから我の物だ
“それ”はその証だ
国王を裏切り、王妃を苦しめた自身らの業をとくと思い知るがいい "
国王の憎悪と王妃の血の涙を吸い込んだリンクル・ダークの低い声が、事を言い終えて小さく遠のいていく。
「待て!!ルビーを…ルビーだけはっ…」
" ラフラス…… "
収まりつつあった光の渦から、今度はルビーの声が聞こえた。
「ルビー!!無事か!?どこにいるんだ!!」
ラフラスは必死に辺りを探すが、眩しさで何も見えない。
ルビーの姿が見えない。
" ラフラス…ごめんなさい…
私はもう傍にはいられない…
どうか、この子を…"
「ルビー!逝くな!!俺が代わりに死ぬから、君達は国に帰ればいい!!
すまなかった!!すまなかった!!」
泣きながらその場に膝を着き、頭を地面にこすりつけるラフラス。
自分の起こした全てを悔い、ルビーと供の者達に対して謝った。
" ラフラス…貴方は何も悪くない…
私が貴方を好きになったから貴方まで巻き込んでしまった
私は何も悔やんでなどいない
ただ……
貴方と離れるのが、辛い……"
短い幸せだった
それでも幸せだった
皆の犠牲の上に成りたっていた、儚い幸せ
「…ルビー…ルビー…う……」
彼女を愛するが故、ここまでやってきた。
それなのに、これからはこの場所で彼女のいない長い人生が始まる。
ラフラスは絶望に顔を伏せ、立つ事すらできなくなった。
そんなラフラスが最後に見たルビーの姿は……
風に乗った幻のように、光の中で一瞬だけその姿を現した。
" ラフラス……
百代の呪いが終わり、私がリンクル・ダークから解放されたなら……
その時は今度こそ、離れずに傍にいましょう
もし貴方が待っていてくれるのならば、私はそれだけで大丈夫
信じて、務めを全うしましょう……"
ルビーは幻の指でラフラスの頬に触れ、涙を拭う仕草をした。
「…本当か…?俺は…待っていていいのか…?君を…苦しめたのに…」
" 愛していますラフラス…
私が百代のつとめを終えたら…今度こそ……
永遠に、ずっと……"
───そして、光と共にルビーの幻とリンクル・ダークは姿を消した。
一緒に島に来た仲間は皆、気を失っていた。
ラフラスは、しっかりと見えるようになった部屋の景色にルビーの姿を見つけると、傍らに寄り、やはり冷たくなっていた彼女の顔に頬を寄せた。
「…すまなかった…ルビー…」
君が気持ちを伝えてくれたあの時…
俺が頑な意思を持って君の背中を押し、城に帰していたなら
こんな事にはならなかったのに────
ポタポタと滴る涙でルビーの頬を濡らし、ラフラスはその亡骸を抱き締めた。
その時、すぐ側で元気な赤ん坊の泣き声が聞こえた。
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