ベールの向こうー前編ー
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フラフラと弱い足を何とか進め、ルビーはラフラスの元へ急いだ。
ラフラスもおぼつかない足取りのルビーを見て、支える為に駆け寄った。
そして二人の距離が無くなった時、ルビーは身を投げうつようにしてラフラスの胸に飛び込んだ。
「…おいっ…大丈夫か!?ルビー…王女!!」
「は、はぁっ、だ、大丈夫…」
体の疲労や痛みなどよりも、ルビーは彼に会えた事が嬉しかった。
思い描いていた彼の腕の中、ルビーは目を閉じて噛み締めるようにその温もりを感じた。
「馬鹿か!こんな夜中に一人で来るなんて魔獣に食ってくれと言ってるようなもんだ!!」
「だって、どうしても貴方に会いたかったんだもの!!」
ルビーの言葉に、ハッとした表情を見せるラフラス。
ルビーは泣いていた。
焦がれるだけの日々は本当に辛くて、会う為にはこうするしかなかったのだ。
「…君は…」
「私はルビー。ラフラスが好き。今の私は王女じゃない」
戸惑うラフラスに、もう一度想いを伝える。
「好きなの。貴方は私が嫌い?」
真っ直ぐに自分を見つめてくる瞳に、ラフラスは吸い込まれ落ちてゆく。
しかし、振り切るように目を逸らし、何とか理性を取り留めた。
「君は君の立場があるだろ?然るべき国の王子に嫁ぐと決まってる」
「私は貴方がいい!」
「無理だよ。光栄ではあるけど、君に手を出して首が飛ぶのはごめんだ。君はこの国の王女なんだぞ。自覚しろよ。
こんな夜中にこんな危険な所に来て、もしバレたら俺が罰を受けるんだぞ!」
「答えになってない。好きなの?嫌いなの?」
「仮に好きだと答えて、そこに未来はあるのか?いずれ全てが終わる日が来る。
…君は王女、俺は平民だ」
「答えになってない」
ルビーは腕の中からラフラスを見上げ、揺るぎない強い瞳で捉らえた。
ラフラスも、初めて会った日からルビーに焦がれていた。
毎日毎夜、月の満ち欠けを眺めながら、ルビーと出会った日からを数えていた。
こうして再び会える日が来るなんて思いもしなかった。
それも、彼女の方から想いを伝えられるなんて…
「…俺は君を幸せにはできない」
「答えになってない!好きか嫌いか訊いてるの!」
嘘でも嫌いだなんて言えなかった。
彼女は見れば見るほど美しい。
しかし自分も同じ気持ちだと伝えて逢瀬を重ね、露見すれば命が危ない。
きっと国王に首を切られる。
たった一度会っただけのこの王女を受け入れ、未来の全てを失ったら────
「───俺も君が好きだよ」
ラフラスは命より、正直に向かってきてくれた想いに応える事を選んだ。
そして二人の真夜中の逢瀬が始まった。
この長い永い運命に繋がる二人の恋が……
『それでそれで!?それからどうなったの!?ラフラスはバレて首を切られたの!?』
「リン、静かにしろ。話は途中だ」
" 切られなかった。当然、バレたけれどね"
『うそっ!バレたの!?それで一緒に逃げたとか!?』
「黙って聞かないか!(怒)」
" 逃げられなかった。すぐに捕まったわ。
彼は何の悔いもない顔をしていたけど "
ルビーは遠い昔の事を思い出し、目を細めて話を続ける。
クラピカに抱かれていたラタルは、いつの間にかすっかり眠っていた。
" 私達は供の者六人と一緒に島流しにされたの"
『わかった!さてはそれがこのジュエリス』
パコーン、といい音をたててクラピカがリンの頭をはたいた。
後半へ続く。
~続く~