ベールの向こうー前編ー
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奥へ少し進むと、今度は白い建物が見えてきた。
この隔離されたような島の中で一体誰が建てたのか…小さいが、施された装飾も立派で綺麗なままだ。
───間違いない
ここで師匠は私を見つけた
ここがきっと、神殿だ!
リンはさっそく神殿の中へ足を踏み入れようとした。
と、その時、追ってきたクラピカに腕を掴まれ止められた。
「待て!逸る気持ちはわかるがお前一人ではないんだぞ!ラタルを抱いたまま無茶をするな!!
私が先に行く!」
力強い手に、思わず我に返るリン。
『あ…ごめん。でも大丈夫だよ。みんなこの子を待ってるし』
「この歌声は何だ!?誰かいるのではないのか!?」
『違う、大丈夫!じゃあクラピカが先に行って』
そう言って先を譲り、後からついて行くリン。
グレスも後ろから景色を懐かしみながらゆっくりやって来た。
クラピカは臆さず、しかしリンとラタルをしっかり後ろに隠しながら前へ進んだ。
「ここへ入ればいいんだな?」
クラピカの問いにグレスが答えた。
「ここが17年前、リンさんを地下に隠した神殿です。我々が信仰する神々がいます」
多分、彼等はここに呼びたかったのだろう…
三人の意見が無言で一致した。
「……入るぞ」
リンはコクンと頷いた。
確かにオルゴールのような綺麗な歌声が聞こえてくるのはこの場所からだ。
三人はゆっくり、白い神殿の中へと入って行った。
入り口には扉はなく、外からの光が入るので、真っ暗ではない。
一歩足を踏み入れると、カツーン…と靴音が響き渡った。
中にはジュエリストが信仰していたという神の像が奉られてある。
「これは……!!」
クラピカは足を止め、すぐに神殿の中の気配を探った。
驚いたのは神の像にではない。
その隣りにあった炬(たいまつ)に火が灯されていたからだ。
リンとラタルをしっかり腕に抱き、どこからも、何者にも奪われないよう警戒した。
『大丈夫だよ、クラピカ!誰もいないよ!』
「じゃあ、あれは誰が点けたと言うのだ?」
入り口で止まる二人の横をすり抜け、奉られてある神の目の前までグレスは足を進めた。
その神は女性だ。
裸に近い格好だが、体のどこにも宝石はついていない。
そしてグレスは、またいつかのように例の言葉を言った。
「リンクル・ダーク……」
その瞬間、世界は一瞬にして闇に落ちた。
一切の光もない、真の暗闇。
視界が全て奪われ、抱き締めていた互いの感触のみで存在を確認する。
『クラピカぁっ…!』
「大丈夫だ、私はここにいる!」
クラピカは絶対に放すまいと、力一杯二人を捕まえていた。
まるで足が地に着いていないような浮遊感。
ここは一体、どこなんだ!?
そのうち少しずつ辺りに光がチラつき始めた。
小さく、キラキラと瞬く幾千の光。
まるで宇宙の中に浮かんでいるようだ。
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