ベールの向こうー前編ー
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リンはどんどん奥へと進んでいく。
クラピカとグレスの制止も受け入れず、呼ばれるように突き進む。
「リン、待つんだ!ラタルを私に!」
『大丈夫だから』
「リンさん!」
暫く歩くと、小屋のように小さな家が幾つか現れた。
側に畑の跡もある。
荒らされた形跡はない。
丸太でできたその家には蔦が絡む事もなく、苔も生えていない。
まるで今の今まで人が住んでいたようだ。
グレスはその光景を目にし、愕然と膝を着いた。
「あ…あの頃のまま…何故…?」
全く風化せず色褪せず、その景色は昔のままの状態で残っていた。
それはグレスが、島にたった1つ存在した小舟で島を出る時、泣きながら振り返って最後に見た光景そのものだった。
「時間が止まっているかのようだな…」
クラピカも辺りを見渡し、信じられないといった表情をしている。
リンは一旦そこで足を止め、皆が生きていた場所を黙って見つめた後、また歩きだして更に奥へと進んだ。
歌声はここじゃない
まだ奥から聞こえる
綺麗な声だね
今日はちゃんと聞かせてね
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