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それにしても会長が一緒に行くだなんて、一同は初耳だ。
クラピカですら驚いている。
『操縦…できるんだ…』
「そのようだな」
辺りの景色の中で一隻だけ浮かぶ船の場所に着くと、運転手の話通りにネテロ会長が待っていた。
「割と早かったのぉ。ま、三時間待ったが」
ネテロは潮風に髪と髭をなびかせて、船の上から声をかけた。
「お久しぶりです。今回は会長が操縦して下さると聞いたのですが…」
「うむ。アルトに聞いた時から行きたくて行きたくて堪らんかったんじゃ。
丁度いいからワシ自ら連れて行ってやろう」
クラピカの背後で、運転手が溜め息をついている。
どうやら仕事を全て放棄して来たらしい。
『会長!ありがとうございます!!』
リンは満面の笑顔で礼を言った。
グレスも倣って頭を下げる。
「その赤ん坊が"ラタル"か。早く乗って来て顔を見せなさい」
『はいっ!!』
三人は運転手の人に頭を下げ、船へと乗り込んだ。
もうすっかり目も見えるようになったラタルは、初めて見る景色や風の匂いを感じ、不思議そうに辺りを見回している。
船室に着くと、ネテロはさっそく手を出してラタルを抱かせるよう促した。
クラピカがそっと渡すと、ラタルは初めての人に抱かれながらも、ぐずる事もなく大人しくしている。
ネテロはラタルを見るなり、すぐにクラピカと見比べ始めた。
「こりゃ父親そっくりじゃな。ビビったわい」
「ありがとうございます」
人に見せる度、言われる言葉。
家に見舞いに来たセンリツにも言われたばかりだ。
無邪気にネテロの髭を引っ張り、遊び始めるラタル。
『あ、こら…』
「構わん。可愛いもんじゃ」
優しい目でラタルを見るネテロ。
リンは何だか温かい気持ちになった。
「お前さんの息子ならアルトにとっては孫じゃな。あの世で誕生を喜んでおる事じゃろう」
『師匠の…孫…』
そんな風に思った事、なかったな
師匠の孫…かぁ
生きていたなら可愛がってくれたかな?
師匠の豪快な笑顔が瞼の裏に蘇る。
ああ…会いたいな
「ではさっそく向かうとするか。ラタルがおる。嵐が近いと感じたら即、引き返す」
そう言ってネテロは操縦室へと消えて行った。
ネテロが用意した船は部屋がいくつもあって、中は豪華だった。
カラオケやゲームセンター、書庫まであり、何とか一週間の間、暇をしなくて済みそうだ。
『うわぁ~、本が一杯。クラピカここに入り浸りになりそうだね』
と言ったそばから既に本を手に取り、品定めを始めているクラピカ。
案の定。
グレスはゲームセンターを回っている。
リンはラタルを抱いてキッチンのある場所へやって来た。
広くて綺麗。調理器具も数種類が揃っていて、巨大な冷蔵庫を開けてみれば食材も豊富に用意されていた。
『わぉ。いつもはシェフが使ってるわけね』
その時、ネテロの声で船内放送が流れた。
何かと思えば…
《 言い忘れとったが、食事は自分らで作らねばならん。
一日三食、ワシにも運ぶように》
『…やっぱし?』
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