出発
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
運命の朝。
グレスは一緒に住む婚約者に起こされ、彼女が作った朝食を食べ、用意してくれた荷物を持って、中心街にある自宅を出た。
「じゃあ行ってくる」
玄関先で、彼女は少し寂しげな表情で手を振り、見送った。
名前はヤヌ。
グレスを立てて尽くしてくれる、とても女性らしい人。
長い船旅になるので、暫く会う事ができない。
───ジュエリストの島……
12歳の時まで、当たり前に両親や一族皆と暮らしていた
そしてあの日、皆が目の前で死んだ
リンさんを神殿に隠した後、一ヶ所に集まって毒を飲んだ
毒が体に回るまでの間、皆は互いを抱き締め合って感謝の言葉をかけあっていた
俺も両親に抱き締められ、自分達の遺体に火を放つよう命じられた
今考えれば、何故俺だったのか…
一人残され、あの人を守る事も、後を追う事もできなかったというのに
確かあの時、長老が言っていたな
リンさんを彼女の母親と神殿に連れて行く時
" 運命が必ず生かしてくれるだろう "
彼女の母は泣いていた
色々難しい会話が成されていたが、子供だった俺にはわからなかった
思えば、そこに我々一族の真実があったかも知れないのに────
『グ─レ─ス~~~~!!!』
空港に着き、グレスの姿が見えるなり、リンは両手をブンブン振って見せた。
その後ろから、ラタルを抱いたクラピカがゆっくりと歩いてくる。
「お久しぶりです!クラピカさん、リンさん!!」
『会いたかった!!元気にしてた?』
会うなり、元気よく飛び付いてくるリン。
クラピカもグレスも慣れているので、特に気にはしない。
「えっと…ところでどこの港から?」
さっそくグレスが尋ねる。
「港から出港している船は利用せず、ハンター協会の会長が用意してくれた船で行こう。
予想では一週間程で着くそうだ」
「そうですか。俺が島を出る時はかなりかかった気がしますが」
「会長が用意させた船なのでな。何かあった時にも少しは対応できる物のはずだ」
『嵐にだけは遇いたくないな~!あ、海賊とかも!!』
ラタルの小さな手を握り、リンは懸念を口にする。
何はともあれ、ようやくこの日がやってきたのだ。
彼等は待っている
私が行くのを
ジュエリストの真実、私とグレスが受け継ぐよ
私の代わりに、胸に宝石を持ったラタルとね
ラタル含め四人は、空港まで迎えに来た協会の車で、会長との約束の海に向かった。
車で一時間半。
街を通り、車通りの少ない山道を越え、林を抜けると一気に海が見えた。
ガードレールの向こうはテトラポット。
少し先にある断崖絶壁の崖の下に、そこそこ大きな船が見える。
『うわ、あれ!?誰が操縦すんの!?』
「恐らく私にもできるが…」
「会長がするそうです」
二人の不安気な会話に、車に乗って初めて運転手の人が口を挟んだ。
・