明日があるさ
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島に着き、三次試験のタワーを早く抜けた順に森の中へ入ってゆく。
「んじゃお先に。またな、ゴン、リン」
「うん」
『頑張って、キルア』
どうでもいい事だが、
このところキルアはやけにゴンと仲良しだ。
同い年だし当たり前の事なのだが、今も名前を呼ばれた時にさりげにゴンが先だった事を、リンは少し悔しく思っていた。
ま、ゴンの事も大好きだからいいんだけどね!
間もなくリンも森へ入る順番がやってきた。
向かう宛てなどないので、様子を見ながら暫くうろうろしていたが、少し奥に大きく枝を広げた大樹を見つけ、木陰に腰を下ろして休んだ。
一人、ぼーっと空を眺める。
『(なんか…のどかすぎる…。試験中なんて嘘みたい…)』
久しぶりに緊張感の切れたリンは、心身共に疲れが溜っていた事もあり、うとうとし始めた。
そんなリンの様子を、近くの木の上から一人の人間が窺っていた……
(くっ…もう我慢できん!)
その者は、木から素早く飛び降りると、リンのもとへやって来て、言った。
「おい!!そんな目立つ所で何を呑気に眠りこけている!!
お前は試験に受かる気があるのか!?」
『(ビクーッ!!)えっ!?わっ、何!!?あっ……』
目の前にドンと仁王立ちで、リンを恨めしげに見下ろしていたのは
『クラピカぁ!!』
リンはビックリして目を丸くしている。
『はぁ……何よもー、お陰で目が覚めちゃったよ』
「このままここで爆睡して、誰かにプレートをくれてでもやるつもりか!殺される事もあるんだぞ!!」
もの凄く怒っている。
リンを見つけ、しばらく見守るつもりが、あまりの無防備さに痺れを切らせて出てきてしまったらしい。
『あははは!!そっかぁ。
一応心配してくれたって事でいいんだよね?』
リンが嬉しそうに笑う。
「笑い事ではない!!」
クラピカは頬を赤らめながら、更に怒りだす。
それだけ自分の事を真剣に考えてくれているのだと伝わり、リンは嬉しそうに微笑んだ。
『クラピカ、私もクラピカを探さなきゃと思ってたから丁度よかった。
はい、これ』
ポケットから取りだした物は、自分のプレート。
「…何だ、これは」
『私のプレート。クラピカの獲物でしょ?あげる。と言うより、受け取って下さい』
リンは両手を添えて、プレートをクラピカの目の前に差し出す。
「…お前がそう言ってくる事を予想してなかった訳ではない。だがお前もわかっていたはずだ。私がこんなもの受け取るはずがないと」
『なら力ずくで奪いとる?そうでなきゃ達成感ない?』
「どういう意味だ。私を怒らせたいのか」
クラピカの顔に怒りの色が浮かぶ。今度は本気だ。
『私にはもう必要ないもん。だからクラピカに受け取ってもらって、ちゃんと合格して欲しいんだ』
「私は最初から一点分のプレートを三枚集めるつもりだった。プレートはお前が持っていればいい。私はいらない」
眉を寄せ、視線を合わせずにクラピカはそう言った。
『そんな事言わないでよ!ホラ、いいから』
クラピカの手を掴み、プレートを無理矢理握らせようとするリン。
「クドい!!」
その手を、クラピカはとっさに振り払った。
二人の間にプレートが落ちる。
―――ピンと張り詰めていた緊張の糸が、その瞬間、プツリと切れた。
『…だって…私…っ…うっ…』
じわぁ~っと、リンの瞳に涙が溜っていく。
クラピカはハァ…と溜め息を洩らした。
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