ラタル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
やがて分娩室から処置を終えたリンも出てきて、廊下で待っていた皆と対面した。
「きゃあああ!リンちゃん頑張ったね~~~!!」
『あはは、メイカ泣いちゃってるし!』
「元気そうじゃねーかよ!つーかあの赤ん坊、マジで似すぎじゃねーか!?」
『でしょ!?私に似てるのも見てみたかったけど!』
「いや、顔はクラピカに似てよかった!」
『は……』
「でも頭のいいとことかもクラピカに似た方がよくない?」
『え、ゴンまで…』
「性格もクラピカさんなら安心ですね!」
『…グレス~~~!!』
皆でリンとラタルを囲い、笑いあう。
幸せ。
こんなに幸せな未来が待っているなんて、あんなに悩んだ日々が嘘みたいだ。
ラタルはリンの隣りに寝かせられ、皆の賑やかな会話などよそにスヤスヤと眠っている。
『…あ~…幸せ…』
思わず口からも零れる本音。
『ありがとう…みんなのお陰で…私はこんなに幸せ…』
辛く痛い思いをしてようやく産んだのは自分。
それなのに今こんなに心を満たすのは…
皆への感謝の気持ちだった。
『あいしてる…みんな…』
唐突なその言葉を、からかう者はいなかった。
リンの瞳はあまりに澄みきって無垢だった。
あらゆる苦悩を越え、人の親になった今も尚、出会った頃と同じように……
「俺らもだよ、リン」
「うん。大好きだよ」
返ってきた優しい声に、リンは柔らかく微笑んだ。
その夜、皆が帰った後、リンは病室で初めてラタルと二人きりの夜を過ごした。
ベビーベットの上の小さな寝顔を、リンは一晩中見つめていた。
あ~…可愛いなぁ
愛しいなぁ
これから私の一生を、この子が彩っていくんだ
素晴らしい
この子は大きくなったらどんな人になるんだろう?
どんな人を尊敬して、どんな人を愛するんだろう
…ずっと一緒にいたいなぁ…
傍にいて守りたいなぁ…
この子がこの先受けるはずの厄災、全部私に振りかかればいい
私がこの先貰うはずだった幸運、全てこの子にあげて欲しい
私はこの子を産んで、この子の人生の始まりに立ち合う事ができたけど
この子の人生を全て見る事はできないんだ
どんな人生を送り、どんな人と出会い、どんな仲間を作り…
どんな終わりを迎えるのだろう
それを見られる程の長生きを望んでいるわけじゃない
……ただ……
それが寂しいだけ
私はどれだけの時間、この子と一緒にいられるの?
沢山の苦労と沢山の経験が人の心を育てる
それでも私は……
何物にも傷つけられない場所で、この子を守り続けたいと思うの
それはほんの一晩の、幻にもならない夢物語。
『おやすみ、ラタル…いい夢を』
貴方を産んでよかった
でも産んでみて思った
もう二度とお腹の中に戻す事のできない寂しさは、きっと誰にもわからないと
~続く~