ラタル
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リンが大切そうに愛おしそうに子供を抱き締める姿を、クラピカはそれ以上に幸せな気持ちで見ていた。
子供が無事に産まれた
そして……
リンがこうして今も生きている
二人で一緒にこの子を迎える事ができた
当たり前のようで、一体我々はどれだけの想いと葛藤して来ただろう?
どれだけの壁を越えて来ただろう?
もしかしたら、こんな未来はなかったかも知れなかった
そう、紛れもない奇跡なのだ
奇跡の……命
ラタルも、リンも…生かされた
リンは、クラピカの瞳に輝く光を見た。
『クラピカ…』
「ラタルを…私にも抱かせてくれ」
そっと目元に滲む涙を拭い、クラピカが両手を差し出した。
リンは首を支えるよう注意してクラピカの腕にラタルを渡した。
自分によく似た小さな顔。
この世でたった独りしかいなくなった、クルタの血を引く自分。
しかし、この子は自分と同じ血を持つ
滅びた家族の血を引く
そして愛するリンと自分の血を引いている
宝物。
「ラタル」
初めて呼ぶ、我が子の名前。
一気に実感が湧いてくる。
私はこの子の父親なのだ
抗っても無駄だった
「ラタル…リン…」
大切な者達
今度こそ、絶対に守ってみせる
ラタルを抱くクラピカの頬に触れ、髪に触れ、リンは言葉にできない想いを伝えた。
ありがとう…
私にこの子を授けてくれて…
二人の魂を繋ぐ命を…
「うっわぁぁ~~!!クラピカそっくり!!」
「すっげえ!!生きうつしじゃねーか!!」
分娩室の外へラタルを連れて行くと、皆は待ちきれんとばかりに揃って壁に耳をあて、くっついていた。
クラピカが抱いているラタルを見るなり、蟻のように群がって取り囲む。
「お、宝石付いてんじゃねーか!また綺麗な青だな、男らしく!」
「てゆーかてゆーか、絶対成長したら美形!クラピカさんそっくりの!楽しみね~~~!!」
口々に発せられるのは、やはりクラピカによく似ているという事だ。
クラピカは誇りを持って我が子を紹介し、名前も呼んだ。
「え~、やっぱ結局クラピカの考えたやつになったのかよ~」
案の定キルアからはブーイング。
「なぁんだ、俺てっきりまだ決まらないんだと思って考えてきたのに」
思いがけずゴンから興味深い言葉が出てきたので、一応クラピカが聞いてみると。
「サウルスとかトプスとか、あとフェニックスとか!強くなりそうでしょ?」
何故か本人、自信満々。
「もはや人間ではないな」
「恐竜だな」
呆れた声はゴンの耳には届かないらしく、一人で残念がっている。
「リンさん…リンさんは無事なんですか?」
グレスの切羽詰まった表情に、クラピカは穏やかな声で答えた。
「ありがとう。貴方のお陰でラタルもリンも無事だ」
グレスの肩に手を添え、力強く頷くクラピカ。
グレスはその場に倒れるかのような勢いで膝をついた。
そして、ただひたすら歓喜の涙を零した。
彼女が無事……!!
ああ、神よ!ありがとうございます!!
胸の宝石を失っても、貴女が我等の女神である事は永遠に変わりないんだ…!
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