痛い痛い痛い!!
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看護師はなんとも落ち着き、苦しむリンを目の前に笑いながら言った。
「あら、よかったね~。もう9センチも開いてますよ。10センチになったら分娩室に行きましょうね~」
『…っはぁ!?なっ……なんで9センチじゃダメなの!?』
「開いてないのにいきんだら赤ちゃん苦しいよ~」
『でもっ…あっ!きた!!きたきたきた!!
クラピカ、腰!!腰~~~~!!』
クラピカは合図と共にまた力を込めて腰を擦る。
リンは枕を叩きながら半泣きで訴えかけた。
『……っ……切って!もう切って下さい、お願いだからぁ~!!』
「な!?」
クラピカはギョッとしてリンの顔を見た。
そ…そんなに痛いのか!?
自分で腹を切ってくれと頼むほど…!?
男には到底わかり得ない事である。
クラピカは何故か申し訳なくなり、必死になって腰を擦ってやった。
陣痛の合間には至って普通。
息は荒れたままだが、不思議なもので全く痛くないらしい。
「…リン、胸の方は大丈夫か?」
『え?…ああ、全然大丈夫。多分もう二度とないよ。てゆーか今あれまできたらホント死ぬから』
汗だくで虚ろな目をしながら答えるリン。
『ん~、きたきた…もう…いやっ…』
と、つい言ってしまったが
『…じゃない!嫌じゃない!!う~~~~!!』
うっかりな言葉をしっかり訂正。
クラピカは思わず「根性あるな」と感心してしまった。
そうこうしている間に……
「あ、もう間隔ないですね。行こっか!分娩室!」
待ちに待った看護師の言葉に、リンはヨロヨロと起き上がる。
丁度その時、レオリオとメイカとグレスも家族室から起きて来た。
「お、大丈夫か?リン!」
「え、え、何かすっごい辛そうじゃない!?もしかしていよいよ!?」
リンのぐったりした様子を見て、一同は驚いた。
「ああ、今から分娩室に入る」
『うん…ようやく…。皆立ちあってくれるよね?』
リンの言葉を聞いていた看護師が、すかさず口を挟む。
「こんな大勢が立ち会える訳ないでしょ?パパだけよ!」
『ええ!?』
本気で言っていたので、リンはもの凄くショックを受けた。
まぁ、よくよく考えてみれば至極当然の事なのだが。
「心配すんな!何時間かかっても産まれるまで絶対待っててやっからよ!」
「そうよ!がんば、リンちゃん!!赤ちゃんともうすぐ会えるよ!」
『うん…絶対待ってて…頑張ってくるから!』
ガッツポーズを無理に作って口の端を上げて見せる。
「…リンさん…」
グレスはまだ懸念が拭えず、リンに何と声をかけたらいいか迷っている。
リンはグレスに歩み寄り、その手を取ってしっかり掴んだ。
『すぐ…帰ってくる!無事に産めたら…一緒に行こうね…!』
ジュエリストの島に!
私達の…故郷に!!
グレスはハッとして、握られた手を見つめた。
『行ってきます、みんな!』
笑って手を振るリン。
グレスの手に、自身であった黒曜石を残して────
~続く~