分たれた宝石
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……んうっ……痛い……
とうとうこの日が来た……
でもクラピカが……
誤解して……る……
私は何にも諦めてない!
ただ先生を呼ばれても……きっと何もできないと……
ああああああ!!!
痛い!!痛い!!痛い!!
胸の痛みで胃まで悪くなってくる!
頭まで痛くなってくる!
『あああああああっ!!』
「リンさん!!」
「リン!!」
汗だくで胸を掻きむしり、噛み締めた唇からは血が滲む。
死ぬ……痛……死ぬっ……し………
死ぬ……わけ……?
赤ちゃんが産まれるから?
男の子だったのに……
私はもう……ジュエリストの女神として……
用無しって事………?
……そんなの知らない!
私はもともと女神なんかじゃない!!
生きていて何が悪いの!?
誰が決めたの!?
赤ちゃんが産まれるんだよ!
これから一緒に生きるんだよ!!
顔を見て、だっこして、名前を呼んで………
沢山愛してあげるんだ
……クラピカ……
クラピカと…………
クラピカと…………
傍にいるって約束したの………!!
リンの叫び声が途絶えた。
横たわり、うずくまって目を閉じている。
「リン!大丈夫か!?」
クラピカの問い掛けに返事はない。
乱れた呼吸の最後に、リンは深く長い溜め息を吐いた。
「……!
……クラピカ……さん……これ……」
グレスが指差した先には──────
リンの胸元に、光を完全に失った宝石が転がっていた。
リンの体から離れ、まるで初めから道端に落ちていた石ころのように、静かに転がっていた。
リンの胸もまた、産まれた時から何もそこには宿していなかったかのように、血の一滴すら流していなかった。
「これは…どういう事だ!?」
「わかり…ません…
ジュエリストの体から宝石が取れ落ちる事など…」
二人は顔を見合わせて息を飲んだ。
「…リン…」
クラピカが名前を呼んでも、眉ひとつ動かさない。
まさか……
震える手で、恐る恐るリンの頬に触れてみる。
冷たい。
でも息をしている。
胸に耳をあててみると、確かに温かい鼓動が聞こえる。
ただ、リンの胸から身を独立させた宝石が、リンの意識をも浚っていったように。
「…医者を!」
リンはまたしても"あの夢"の中にいた。
そして今度は、はっきりと彼女の顔を見る事ができた。
「…貴女が最後の…」
『…うん。そうだよ。そっか……貴女が…』
何故かリンは、会った事もなかった彼女の正体を理解した。
美しい歌声を持つ
それは美しい、美しい少女。
"貴女が最後の女神
ありがとう
さようなら───"
~続く~