分たれた宝石
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「ん~、収縮は10分感覚にはなってるみたいですね」
都合上、掛り付けの病院以外には行けない為、長い時間をかけていつもの病院にやって来た。
先生は破水の確認をし、赤ちゃんの心音を聞く機械をリンの体に取り付けた。
やはり陣痛も始まっていたらしい。
「まだ微弱だから今すぐ産まれる事はないと思いますが。一応入院の準備を」
機械からは大きな音で子供の速い鼓動が聞こえてくる。
処置をしている間にレオリオとメイカも病院に着いた。
「よぉ!いよいよらしいな、リン!うぉ~デカくなったな、腹!!」
「リンちゃあん!大丈夫!?もしかしてうちらナイスタイミングに来た!?」
病室に入るなり賑やかな二人。
『わざわざ遠いのにここまで来てくれたの!?』
ベットに横になったままだが、リンも喜んで二人の手を握った。
『怖いよ~痛いのかな~?すんごい痛いのかな~?まだ一ヶ月以上先だと思ってたのに心の準備がぁ~~~!!』
半泣き状態のリンを、よしよしと宥めるメイカ。
「怖いねえ~。だいぶ参ってるね。
うふふ……でも私達が用意したサプライズを見たら元気になるかな??」
『サプライズ?レオリオとメイカが来たのもサプライズだったのに?』
「ああ。まだあるぜ!実は来たのは俺達だけじゃなく……」
『!!……もしかして……』
リンは誰が来ているのかをすぐに察し、少し開かれたドアの方に目を向けた。
扉からゆっくり顔を覗き込んだ人物。
やっぱり予想通りのあの人だった。
レオリオとメイカは何も事情を知らずに誘って連れて来たんだろうけど。
もうすぐ産まれるかも知れないという今、一番会って支えて欲しかった人。
「リンさん!大丈夫ですか!?」
『グレス!!』
それはたった一人の同族で、たった一人、この体の…女神とジュエリストの全てを知る仲間だった。
『グレス!!ありがとう!来てくれてありがとう!!』
「あは、よかった!元気そうで」
『怖いよ!もうすぐ産まれちゃうよ!ねぇ、どうしよう!!』
どうしよう────
その言葉の真意を汲み取り、グレスはすぐに真顔になった。
傍に佇むクラピカも、伏し目がちにリンから視線を逸らした。
グレスはリンの傍らに寄り、目線を合わせて笑って見せた。
「大丈夫ですよ。遥か彼方から皆が今も貴女を見守って下さっています」
メイカが握っていたリンの手を受け取り、しっかりと包み込む。
「貴女なら絶対に大丈夫!俺も皆もずっとここにいますから」
『私…大丈夫かな?』
「ええ、もちろん!今はただ気をしっかり持って元気な赤ちゃんを産む事だけ考えて」
そう言って微笑むグレスの、なんと心強い事か。
ああ、スリなんてしていたあの頃とは大違い
素晴らしい人に……なったね……
『…うん、頑張る。だから皆、私がちゃんと産んで戻ってくるまでいてね!絶対!』
可愛いリンのワガママに、皆はニッコリと頷いた。
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