サプライズ
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部屋へ入るとすぐにシャワーの音が聞こえた。
あら、まだ入ってらっしゃるの?
どれ、背中でも流して差し上げようかしら?
リンはスゥ~ッと大きく息を吸い込むと
『ゴ~ン~!!!』
超ド級の大声で名前を呼び、バスルームの扉をガンガンと強くノックした。
「わっ!!えっ!?…もしかして…リン!?」
大いに驚いて、くもり硝子のドアに揺れる影を振り返るゴン。
『きゃはははっ!!びっくりした!?久しぶりだね!!』
「リン!!来てくれたんだ!!待ってて、すぐ上がるから!!」
嬉しそうに答え、バシャバシャと急ぎ洗う音が聞こえる。
リンは一人でニマニマと笑い、どうしても一度言いたかった言葉を言ってみた。
『ね~え!私も一緒に入ってもいい!?』
さぁ、ゴンならどうする!?
リンは精一杯甘えた声を出し、わくわくしながらゴンの反応を待った。
どんな言葉を返してくるのか予想もできない。
すると
「お風呂、入ってきてないの?」
『え?あ、うん!』
あまり間を空けず、逆に尋ね返された。
「う~ん、いいよ!クラピカがいいって言ったらね!」
ゴンはびっくりたまげる程に普通だった。
ゴンだってもう13歳。
年頃の男の子。
可愛く照れたり戸惑ったりするかと思いきや。
『あっ……ホント……に?えっと……いいの?』
「クラピカがいいって言ったらだよ?でもすっごく狭いよ!」
ゴンの反応にリンはポカーンと開いた口が塞がらない。
リンが返答に困っていると、丁度クラピカとキルアも部屋に辿り着いた。
「あ、リンのやつキー持ったまま閉めやがったな!おい、開けろよ!」
キルアが部屋のドアを激しくノックする。
───ガチャッ
『……クラピカ……』
すぐに開けてくれたのはいいが、何故か気恥ずかしそうに頬を染めながら出てきたリン。
「どうかしたのか?」
クラピカが不審そうに部屋の中を覗く。
『…ゴンと一緒にお風呂入っていい?』
「「……………」」
真剣な顔で、なんというふざけた質問。
キルアとクラピカは間抜けな顔で呆けている。
『いい?』
「……何故?」
またしても質問に質問が返ってきた。
『クラピカがいいって言ったらいいよって…』
「き」
「じゃあ俺も入る!」
クラピカの口から「却下」と言い切られる前に、キルアがリンの腕を引いて部屋の中へと入って行った。
『ええっ!?キルアも!?』
「何だよ?ゴンは良くて俺は嫌なのか?」
『だってキルアは私の事好きじゃん!!ゴンは良くても流石にキルアはクラピカが許してくれないよ!!』
常識から基本的にズレた二人の会話を聞きながら、クラピカはズバッと鋭く突っ込んだ。
「キルアどころかゴンも良いわけなかろーがっっ(怒)!!!」
いきなりの怒声に固まるリンとキルア。
ガチャッ
「あ、ごめんリン、遅いから上がっちゃった!」
シャワーを終えて出てきたゴンの無邪気な笑顔だけが、ただその空気の中で浮いていた。
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