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クラピカはリンから視線を落とし、髪を撫でていた手も下ろした。
『クラピカ…』
魔法が解けたかのように、リンの体も解放された。
「……ふっ」
渇いた笑いが漏れる。
リンは躊躇いながらも、俯くクラピカの顔を覗き込んだ。
漆黒の瞳は無感情で、排他的で、小さな光を反射する事すら拒んでいるかのようで。
『クラピカ…ごめ…』
拒絶されるのが恐くて、謝罪を口にするのも躊躇ってしまう。
自分なりの信念を持ってクロロの元へ頼みに行った。
謝ろうとは思っていなかった。
しかしクラピカの顔を見た瞬間、自分がした事がどれ程彼を傷付けたのかを知り、本当に後悔した。
…ああ…どうやってでも口止めしておけばよかった!
これではクラピカをただ傷付け、計画すら無駄に終わってしまっただけだ
どうしても実行しなければいけなかったのに…!
リンは悲しさと悔しさと、彼を傷付けた事に対するショックで自分も涙が流れた。
『ごめんなさいっ…』
こんなはずじゃなかったのに!
酷いよクロロ!クラピカが心底望んでないのは私だって知っていたのに…!
それでもこれがクラピカの為には一番いいんだと…心を殺して頼んだのに!!
クラピカの腕を掴んでひたすら謝った。
そんな顔をさせてごめんなさい
そんな想いをさせてごめんなさい
傷付けてしまってごめんなさい、と。
「お前を…忘れたら、私は一体どうなるのだろう?考えると怖いな…恐怖だ」
リンの頬に今度は両手を添える。
温かい
生きている
そして私はお前を愛している
全てが消える時、私はきっとこうしてはいられない
───壊れてしまう
お前のいない明日、忘れてしまう明日
嗚咽を漏らして涙するリンを、クラピカは自分の胸に抱き締めた。
力を込めて強く強く。
リンもその背中に腕を回し、抱き締め返した。
この胸に耳を宛てれば、怖い位の本当の叫びが聞ける気がした。
そして
「…許さない。本当に私からお前の記憶を奪ってみろ。
私は絶対にお前を許さない!」
リンはハッとした。
掠れる程の叫び。
いつも冷静で、頑な理性が武器のクラピカが、こんなにもさらけだす本音。
心を全て吐き出すかのように……
「たとえ記憶をなくしたとしても心は覚えている!何度生まれ変わっても、輪廻を越えようとも、私は決してお前を許しはしない!!
決してだ!!忘れるな、リン!!」
『…クラピカ…でも…』
…苦労しちゃうよ
子供を育てるのって、大変なんだって
毎日こんなに忙しいクラピカが…できっこない
私がクラピカに苦労して欲しくないよ…
それとも新しいこの子のお母さん、優しい奥さん見付けてくれるの?
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