広がる漆黒
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思考が定まらない。
自分の体じゃないように、勝手に震える。
目の前が霞んで…いや、滲んでいく。
私がリンを忘れる…それをリンがクロロに頼んだ
リンが死んで、私はリンの事を忘れて何もなかったかのように普通に生きる
リンと出会う前に戻り、また蜘蛛を捕える為、緋の眼を集める為だけに…地獄のような日々に戻る
それをリンが望んだのか……!!
まるで毒薬でも盛られたかのように、割れそうな頭痛と酷い吐き気がクラピカを襲う。
「リンはお前がそう望んでいるからと言っていた。だが違うだろう?」
淡々と話すクロロに、クラピカはステアリングを殴りつけて怒鳴った。
「貴様に何がわかる!!私の立場ならだと!?わかったような口を利くな!!
貴様になど奪われてたまるものか!もう二度と…何も!!」
クラピカは剥き出しの本音を思いきりぶつけた。
思わず涙が溢れそうになり、車の天井を仰ぐ。
クロロはその言葉を静かに受け止め、電話口で一人、瞳を閉じた。
「…ああ。もう二度と。
だからこの事を伝えたのにも少しの謝罪の意味を込めている。尤も、代わりにしてはあまりに小さいが」
電話口で、クロロはリンが紅茶を飲んだカップをキッチンに下げながら、最後の余韻を消していた。
「あいつに伝えておいてくれ。約束は守れないと」
そう言って、クロロはクラピカの返事を待たず電話を切った。
『ふーっ…何とか終わった…』
クラピカが帰って来る前に家に着かねばと、慌てて帰って来たが、家に入ってみれば冷蔵庫の前が荷物でひっくり返ったままだった。
しかも買ってきた物のほとんどがキルアとゴンが選んだもの。
何が何やらわからない。
洗濯物も干したまま。
急いで取り入れ、片付けた。
掃除機もかけてなかった。
クラピカから夕飯の話も聞いていなかったし、一応作って用意した。
一通り終わって、ようやくリンはお腹を抱えながらソファに横になった。
てゆーかこれだけ忙しくても発作がこない時はこない
すんごく落ち着いてる時でもいきなり発作が来たりする
『はは…ま、どうもなくてよかった…』
一日中動きっぱなしで疲れた体を休めながら、リンはボーッと考えた。
クロロ…きっとちゃんとしてくれるよね?
約束守ってくれるよね?
なんせ引き替えに私から…
き………
きす………
わ~~~~~んっ!!
最悪!クラピカ以外の人に私からキス!!
てゆーかクラピカにだって滅多に私からキスなんてしないのにぃ~~っ!
どちくしょ───!!
クロロめっ!!このこのこのっっ!!!
リンは枕にしていたクッションをボカボカ殴り始めた。
その時、駐車場に車が入って来る音がしたかと思うと、直後、酷く乱暴にドアを開け閉めする音が聞こえ、リンは不思議に思って体を起こした。
『え…クラピカかな?』
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