痛みの共有
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クロロはすぐにリンを抱き上げて寝室のベットに寝かせた。
苦しそうに唸るリンの額に濡らしたタオルを置き、胸を休まず擦ってやる。
「薬は?」
『そんなの…ない』
リンは深呼吸をしたり体勢を変えたりしながら、何とか痛みが引くのを待っている。
『…大丈夫だから…ゴメンね、迷惑かけて…』
胸を必死に擦るクロロの手を握り、「もう大丈夫」と言って離した。
クロロは額のタオルを取り替え、リンの頬に手を宛てた。
「…よくあるのか?こういう事は」
『たまに…でも最近多くてね。だから急いで来たんだよ。間に合わなかったら大変だし』
「子供を諦めれば済む話じゃないのか?」
『ふっ…クロロらしい。あんたそれ自分の彼女に子供できた時とかは絶対言っちゃダメだよ!』
「このままじゃ死ぬんだろ?」
『かも知れないし大丈夫かもだし』
そう言いながら、何故かリンは微笑んだ。
そして幸せそうにお腹を撫でた。
『動いてる…』
「子供が?」
『触ってみなよ』
クロロの手を取り、自分のお腹にあてがうリン。
クロロはしかめた表情をしながらも神経を手に集中させた。
すると……
ポコッ…ポコッ…
中で何かがうごめいた。
クロロはとっさに手を引っ込める。
『あは!わかった?可愛いでしょ?すっごい元気!』
とても嬉しそうにリンが笑う。
クロロは自分の手を見つめて固まっている。
『あはは、お兄ちゃんびっくりしたんだって。おかしいね~』
笑いながらまだ返事もしないお腹の子供に話しかける。
クロロはボケッとした顔でその様子を見つめた。
何がそんなに嬉しい?
俺はその子供が憎い
あの男の血を引き、リンの命を奪おうとしているその子供が…
「リン」
『んっ?』
子供に向けていた笑顔のまま、クロロの呼びかけに振り向く。
「さっきの話、受けてやる。だが金はいらない。その代わり…」
『………』
リンの顔から笑みが消える。
見つめ合い、互いの心を探り合う。そして
「お前からのキスが欲しい」
真剣な表情、声。
クロロは本気だった。
リンは驚いたように目を開き、少し考える仕草を見せてから口を開いた。
『うん、いいよ』
クロロの心臓がドクッと跳ねる。
相手にとって不本意なのはわかりきっているのに、どうして。
…しかし、いいよと言ったリンの顔は微かに笑みさえ浮かんでいる。
こんなにリンに優しく見つめられるのは初めてだ。
そこまで……
そこまであの男を愛しているのか────
『目、閉じて』
リンの一言一言に心臓が反応する。
クロロは言われた通りに目を閉じる。
リンの温かい手がそっと頬に触れた。
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