5ヶ月ぶり
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以前はあのビルからノストラードの屋敷まで走って帰って来たのだが、流石に今はそうはいかず、リンはタクシーを使ってやってきた。
『うう…高かった』
が、仕方ない。
気持ちを切り替え、リンはクロロの待つ廃ビルの中へと足を踏み入れた。
相変わらず明かりひとつない暗い場所。
クロロ、一人で寂しくないのかな?
…なんて無神経な事は訊けないけども
慣れた足取りで地下の部屋に辿り着き、深く深呼吸をしてからドアをノックした。
中からは「どうぞ」と丁寧な言葉が返ってきた。
リンは黙ってゆっくりドアを開ける。
少しの緊張が体を走る。
開いたドアからみるみる明かりがこぼれ、中を覗くと暖かい暖炉が焚かれて、小綺麗に片付けられた懐かしい部屋が見えた。
クロロは対面キッチンの中からリンの姿を確認すると、黙って椅子に掛けるよう手で促した。
「寒かっただろ?今紅茶を煎れる。腹は減ってないか?」
『あ、大丈夫。ありがとう。手伝おうか?』
「いいから座ってろ」
いつも通りに優しいクロロ。
リンは久しぶりなせいもあって、二人きりの空間に少しドキドキした。
クロロは紅茶を運んで来ると、寝室から膝掛けを持って来てリンに渡した。
「冷やすなよ。風邪を引く」
『え?あ、うん、ホントすみません』
リンの礼に笑顔を返し、クロロは向かいの席に座った。
窓すらないこの部屋はとても静かで、沈黙が少し気まずい。
二人は同時に紅茶を手に取り、一口すすった。
話の切り出し方にリンが悩んでいると、クロロが先に口を開いた。
「長居はできないんだろ?本題を聞こう」
意外な言葉。
無駄口で引っ張られるのを懸念していたのに、クロロは驚くほどあっさりしていた。
『…うん』
クロロの優しい瞳に、少しずつ緊張が解けていったリンは、遠慮がちに話を始めた。
『実はね、ホント…今お腹に赤ちゃんがいるんだけど、ほら私、体に宝石付いてるじゃん?
あのせいでね…赤ちゃん産んだら死ぬかも知れないんだって』
リンの言葉の最初と最後に、クロロは目を見開いて驚いた。
ヒソカから連絡があっても、リンの情報など一切遮断していた為、子供ができた事すら知らなかった。
いや、それよりも…
子供を産むと死ぬ!?
リンが?
何を馬鹿な……
「なら産むな」
当然だと言わんばかりにクロロからはそう返って来た。
リンはもう一口紅茶をすすり、小さな溜め息をついた。
『…産むよ。てゆーか産む前提でのお願いなんだよね』
強気な笑顔を見せて、クロロの瞳を真っ直ぐに見据えた。
クロロはリンが一体何を言っているのかわからなかった。
理解に苦しんだ。
何を考えてるんだ?
産んだら死ぬのなら産まなければいいだろう
…わからない
何故だ!?
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