5ヶ月ぶり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その頃、クロロは部屋に招き入れていた女をベットの上から見送り、再び寝直そうと枕に顔を埋めたところだった。
こうして毎日代わる代わる女を連れ込み、怠惰な生活を送るようになって数ヵ月。
リンの陰が残るこの部屋で心を侵す淋しさは、どうやったって消える事はなかった。
寧ろ日に日に酷くなるばかり。
今日もまたリンの夢を見る為に眠りにつく。
───と、その時。
夢と現の境界にいたクロロを引き戻すかのように、大きな音を立てて携帯が鳴った。
「…またシャル…いや、ヒソカか…?」
クロロは眉間に深く皺を刻んでうんざりしたように表示された名前を確認した。
「………?」
知らない番号。
まさか取ったら命落とすような念の仕掛けはないだろうな
…ま、それでもいいか
クロロはボーッとした脳のまま電話を取った。
「……誰だ」
『あ、クロロ?私。わかる?リンですけど…』
リン…
「リン…というと…」
『はっ!?まさか忘れたの!?』
リンは予想外の反応に驚き、声を張り上げた。
寝起きのクロロの鼓膜を刺激する大声。
寝惚けた脳が醒めていく。
「…本当にお前か…?夢じゃなく…?」
『へ?あ、もしかして寝てたの?びっくりしたぁ!ずっと会ってないから忘れられたのかと思ったよ!元気?』
相変わらずよくしゃべる。
クロロは久しぶりに聞く愛しい声に聞き入り、返事をするのも忘れていた。
『ちょっと、クロロ!?聞いてる!?』
「あ?…ああ、聞いている」
珍しく抜けた声。
『ホントに寝てたんだね。起こしてごめん!でも急ぎの用があるんだ。どっかで今から会えない?』
「今から?」
思いがけずリンからの誘い。
クロロはわけがわからずに頭を抱えた。
「…電話で済む話じゃないのか?なんだ、今更…」
リンのクラピカへの想いは嫌になる程知っている。
今更何の期待もないが、久しぶりに彼女に会えるのかと思うと心が波打った。
『頼みがあるの。渡したいものもあるし。今どこ?』
「例の部屋にいる」
『じゃあ今から行くからクロロはゆっくりしてて。一時間くらいで着くから』
一方的にそう言うと、リンは一方的に電話を切った。
クロロは切られた携帯を片手に茫然。
…リンが来る
今からここに
何故だ?頼み?俺に?
皆目、見当つかない…
まさかの事態に、クロロは酷く混乱していた。
…あいつに会える
夢じゃないのか?
会うのが怖い。また毎日苦しむ事になる
夢で会うあいつが鮮明になってしまう
だが逸る心が抑えきれない
完全に浮かれている
もともとスッキリした部屋だが、一応軽く片付ける。
シンクに残っていた少しの食器を洗い、紅茶を煎れる準備して、リンの好きなお菓子をテーブルに置く。
長くて短い一時間。
クロロはらしくもなく、緊張しながら待っていた。
・