波
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ひとまず、詳しい検査は後日受ける事になり、今夜は退院の許可を貰って帰宅した。
四人揃って、遅い夕食を食べ始める。
『ごめんね、お腹空いたでしょ!!たくさん食べてね!』
皆の気遣いも振り切り、何事もなかったかのようにチャキチャキと準備を整えたリン。
その食べっぷりもいつも以上。
「なんか妊婦さんて色々大変だね」
「色んな意味でな」
キルアとゴンもかなり食べる方だが、さすがに負けたと感心(?)している。
「無理はするな。片付けは私がする」
『ありがとう。でも大丈夫』
クラピカの心配そうな声に、リンは胸元を開いて宝石を見せた。
その大きな石は、もう既にいつもの鮮やかな赤に戻っていた。
『もう大丈夫!これからは気を付けるから!』
ニッコリと浮かべたいつもの元気な笑顔。
気を付けようがないのはわかっていたが、とにかく安心させるために空元気でも振り撒かねばならなかった。
リンの体で今何が起こっているのか────
それは誰にも知る術はなかった。
その夜、リンとゴンが一緒にベットで寝て、キルアはソファー、クラピカは眠れないと言って、一人いつまでもテーブルに着いて本を読んでいた。
クラピカは皆が眠ったのを見計らうとリンの傍へ行き、静かにその寝顔を眺めた。
この娘の体に何が起こっているのか……
子供が関係しているのは間違いないだろう
やはりリンと同じように胸についた石の事は気になる
男の子だと聞いて安心していたが、もしかしたら……
次の日、クラピカはボスの予定に付き合い、護衛をしなければならず、リンの体を気にしながらも仕事に出掛けていった。
『いってらっしゃい、クラピカ~!!』
まるで昨日の事が嘘のように、リンは朝から元気だった。
体が軽い
ホント不思議だなぁ
いつもより調子がいい気さえするよ
朝寝坊の二人の寝顔はまだあどけなく、リンは一人嬉しそうに微笑むと、洗濯物を干しに庭に出た。
『わは、いい天気!』
リンは朝日を浴びてぐーっと背伸びする。
一瞬、クラッと眩暈がして、目の前が白くなった。
『……っ』
足元から力が抜け、壁に背をついて額を手で支える。
俯くと更に世界がグルグルと回る。
何!?貧血…じゃないよね?
うわ、やば。気分悪…
倒れるの…かな…
リンは意識を手放しそうになりながらも、自分のニットワンピースの襟から胸を覗き込み、宝石を確認した。
───やっぱり黒い。
『な…んで……私、やっぱりダメ…なの…?』
酷い眩暈に耐えきれず、リンはその場にしゃがみ込む。
このままじゃいけない
やっぱりこのままで済むとは限らない
私にもし何かがあった時…
そうだ、グレスにお願いしていた事、現実になるかも知れないんだ
リンは震える手でポケットから携帯を取りだし、メモリーからある人物の名を探した。
グレス…もう一度お願いしなきゃ…
そして、この人にも
リンの指が止まった。
探していたその名前とは……
~続く~