愛しい名前
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リンが夕食を作っている間、交代でシャワーを浴びる男性陣。
「すっげーうまそー!つーかマジで意外だよな、リンが料理上手なんてさ」
「ハンター二次試験でも言ってたもんね!試験に受かったらクラピカのお嫁さんにしてって!」
『あははは、懐かしいな~!!よく覚えてたね!』
ハンター試験…
その約一月前に私はクラピカに出会った
師匠を失ったあの日
同時に人生一度の運命の出会いがあった日
あれからもうすぐ二年
「強烈だったもんな。あん時はかなりアホな女だと思ってたけど、マジでそれ叶えるからすげーよ、お前」
キルアが悪戯な笑みで、憎まれ口だか褒め言葉だかを吐く。
バスルームからはクラピカの浴びるシャワーの音が聞こえる。
『みんなのお陰だよ。キルアとゴンとレオリオと…みんながいなければ違ったかも知れない』
リンは食卓にシーザーサラダを運びながらニッコリ微笑んだ。
「らしくねーじゃん」
「リンが頑張ったから、でしょ?」
『違うよ。私だけなら、クラピカと出会う事すらできなかった』
できなかった。何も。
運命とは、そういうものだ。
全ては支配下にあり、全ては自分次第。
『ありがとう、キルア、ゴン』
クラピカがシャワーを終え、髪をタオルで拭きながらリビングに戻って来た。
「おかえりー」
「ただいま」
「あ、クラピカ!今リンとハンター試験の時の」
───ガシャンッ
床に叩きつけられ、スープを入れていたカップが大きな音を立てて割れた。
広く散らばる破片。
こぼれいでた熱いスープ。
そして──────
「リン……?」
瞬間、その場が凍った。
皆の視線がリンに集中した。
「リン!!」
「リン!?」
誰の手も間に合わなかった。
クラピカ、キルア、ゴン…
皆の差し出した手が、空を切った。
ありがとう
ありがとう
ああ……
景色が割れていく
その隙間から聞こえるのは
泣きそうなくらい懐かしい
大切な人
師匠の声、姿………
「リン!元気にしてたか!?」
『師匠!!』
私は夢現の中、その温かい日溜まりに飛込んで行った
いつぞや、来るであろう未来は
もう、すぐそこまで忍び寄っていたのかも知れない
「リン!!」
リンの体は子供を庇うかのように、肩から床に突っ込んだ。
突然の別れとは
真の別れとは
こうして別れの言葉などない
いつもそうだったよね
こうして突然、やって来るものだったはず───
~続く~