愛しい名前
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四人はそれぞれに紙とペンを持ち、離れた場所で名前を考える事にした。
「何個でもいいの?」
「いいけどちゃんと考えろよ!いい加減なのをいくつ挙げても無意味だからな」
「わかってるよ~」
『あ~どうしよ…案外浮かばないな!女の子なら沢山浮かぶんだけど!』
「かっこいいのがいいよね!聞いた事ないようなさ!」
「その思考は危険だろ。ゴンもセンスなさそうだよな~」
『ほほう。キルアの考えるのはさぞかし素敵な名前なんでしょーね!』
「う…ったりめーだろ!」
散り散りになりながらも声を大にして会話をする三人。
『…なんか一人だけすっごい静かな人がいるんですけど』
対面キッチンに椅子を持って来て書いているリンは、ソファーに座るクラピカを盗み見る。
その顔は眉間に皺を深く刻んで、追い詰められたような、真剣そのものの表情だった。
『ぷっ』
思わず吹き出してしまう。
きっとキルアに言われた言葉がプライドに障ったんだ
キルアにだけは負けたくない
…そう思ってるんじゃないかな
ふふ…なぁんか子供っぽくて可愛い!
「…そろそろいい?」
「うん、結構自信アリ!」
『私…は、自信イマイチだけど、これ以上考えても多分浮かばないや』
「クラピカは?」
結局この数分間、一言も喋らなかったクラピカ。
皆も視線をそちらに向ける。
「…ああ。大丈夫だ」
一斉にペンを置く。
『そんじゃあ近くに寄って見せっこしよ!』
テーブルに皆が集まり、紙を出した。
『ふうむ。どれどれ?』
リンが一枚一枚内容を確認する。
『まずはキルアね』
「なっ!俺は最後でいいよ!」
『最初はキルア。どんだけ素晴らしいのを考えてくれたのか見てやりましょう』
リンがキルアが考えた名前を発表する。
ゴンとクラピカは黙って待ち、キルアは椅子の背宛てに顎を乗せ、いじけたようにそっぽを向く。
『えーっと……
タルト…アラモード…いや、何で?真面目にやって!
……シルバ、ウイング…
う、う~~~ん…ウイング好きかな。羽って感じ?ちなみにお菓子の名前はやめようよ、ちょっと』
「キルア?…ウイングって…」
ゴンがチロリと横目で睨む。
「いい名前じゃんか!リンも好きっつってるし!ちなみに俺らの二人目の師匠もビスケットっつー菓子の名前だぜ?
めちゃくちゃ強いし、衒担ぎはバッチリじゃん」
「大した事ないな」
言い訳じみた長い説明を、クラピカが一刀両断。
キルアの額にムキッと青筋が浮かぶ。
「じゃあクラピカのはどんなんだよ!?」
「メインは最後だ」
「じゃあ次は俺の!」
ゴンが自ら名乗りを上げた。
『よしよし、ゴンのは…あ、めっちゃ書いてる。
ポパイ、ガンダム、ゴクー、ルフィ、カイト、ゴンタ、ゴンゾー……ゴンピカ……』
読みながら、リンも渋い顔をしている。
「なんだそれ!!つーかお前も知り合い入ってんじゃねーかよ!!」
キルアがこれでもかと言う程ゴンに詰め寄る。
「だってリン、俺みたいな子供になったら嬉しいって言ってたし。俺の名前とクラピカのピカを取ったり。
あとはヒーローになれそうな名前を貰ったり、カイトって名前もかっこいいじゃん」
本人、至って真剣らしい。
『他は…トリケラトプス…え、怪獣…?ネテロ…いやそりゃダメでしょ。ラスカル…あらいぐまかぁ…好き放題書いたね~』
「あ、なんか聞いた事あると思ったらアニメだったのか。えへへ」
ほとんどのコンセプトは強さという、実にわかりやすいものではあったが…
ゴンの案は、見事に全部すっぽ抜けでした。
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