万に一つの未来
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まだ薄暗く、朝には少し足りない時間、リンはクラピカが寝ているうちにグレスに電話を掛けた。
聞いていた時差を考えると、丁度あちらは起きた頃。
「もしもし、リンさん?おはようございます!」
電話口から爽やかな声が聞こえてきた。
『おはよう、久しぶり!元気?』
結婚式から四ヶ月。
あれから初めての電話だ。
キルアとゴンにすら会っていない。
式までが色々と慌ただしく体調も悪かった為、安定期に入るまで大人しくするというクラピカとの約束だったのだ。
「俺は相変わらずです。リンさんもお元気そうで!」
『うん!すんごい元気だよ!昨日の検診で子供の性別わかったから報告しようと思って!』
「え!!どうでした!?…その声を聞く限りだと…男の子!?」
『正解っ!!』
リンの元気な発表を聞き、グレスは声を張り上げて大喜びした。
「ぃやったぁぁぁ!!やりましたね、リンさん!!おめでとうございます!!本当に、本当に……!!」
涙声が途中で詰まった。どうやら泣いているようだ。
『ありがとう、グレス。心配かけちゃったね。もう大丈夫だからね!』
「はいっ…嬉しいです!よかった!本当によかった!!」
グレスの喜びように、リンもつられて涙が出てくる。
「…これであの"お願い"も不要になりましたね」
『うん。実行する事にならなくてよかったよ。もう何も心配ないから』
どうやらその件もずっと気掛かりだったようだ。
『あ、そういえばね、なんて言うのもアレなんだけど…実は本題はこっちかも。
この子の体、宝石ついてるのがわかったよ。ジュエリストの仲間が増えたよ!』
故郷の復興を願ったグレスが、一番喜ぶであろうその事実。
リンが伝えると、案の定グレスはまたしても歓声を上げた。
「本当ですか!?すごい!!我々一族の新しい時代を担う新星ですね!ありがとうございます!」
まるで自分の事のように喜んでくれた。
『でもさ、位置がね…私と同じ胸のとこなんだ。どう思う?関係…ないよね?ちょっと心配でさ…』
クラピカには言えない不安を、唯一の仲間に打ち明けた。
グレスは一瞬考える為に間をあけたが、すぐに答えに至り、返答した。
「関係ないですよ。女の子でないのならその時点で心配いりません!」
頼もしいハッキリとした声。
その迷いのない言葉は、リンにとっては天からの声のように説得力があって、聞いた途端、心底ホッとした。
『よかったぁ!ちゃんと言わないけど多分クラピカもそれ心配してたんだよ。
ありがとう!また何かあったら連絡するからね!』
「はい!俺も安心しました!体に気を付けて下さいね。クラピカさんによろしくお伝え下さい!」
こうしてジュエリストたちの夜明けの語らいは終わった。
リンはそのまま眠れずに、日が昇るまで妊婦愛読本を読んでいた。
休みだと言うのにクラピカはキッチリいつも通りの時間に起きた。
「おはよう。早いな」
『おはよう!クラピカ!』
今日は天気がいいよ
さて、何して過ごす?
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