万に一つの未来
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夢を見た
久しぶりだった
あんな事を聞いたからだろうか
有り得ないと思ってはいるのに
どこかでまだ、もしかしたらという思いが拭えない
悪夢を見た
久しぶりだった
それは、万にひとつは来るかもしれない未来の
リンの姿だった
深夜、リンは隣りで眠るクラピカの、うなされる声で目が覚めた。
驚いて思わずクラピカの体を揺さぶり、声をかけて起こした。
クラピカは汗だくで飛び起き、開かれた眼は闇の中、煌々と緋色に染まっていた。
息を切らせ、自分の両手を見つめたあと、そのまま頭を抱えるクラピカ。
そのただならぬ様子に、リンは恐る恐る声をかけた。
『クラピカ…』
小さく呼んだその声に、クラピカはビクッと体を揺らし、素早くリンの方を見た。
そして……
「…リン」
リンの顔を見るなり、クラピカは崩れるようにリンの肩に頭を伏せた。
『…どんな夢見たの?』
いつになく冷静なリン。
クラピカからの返事はなかった。
クラピカが見る悪夢なら、きっと底無しに深い。
リンは自分の肩にいるクラピカの頭を、ただ黙って撫でた。
『大丈夫。私がいるからね。ずっとここにいるからね』
本気でそう思い、当然のようにそう口にした。
その言葉に、クラピカは俯いたまま眉を潜めた。
今しがた夢の中で、この腕に抱いたリンは氷のように冷たく、瞳を固く閉じて動かなかった。
側には生まれたての赤ん坊。
胸に赤い宝石を抱き、声を上げて泣いていた。
───悪夢だった。
「…すまない。何でもないんだ」
『クラピカ…』
見え透いた嘘をつき、リンに背を向けてまたベットに横になる。
リンはそれ以上何も訊けず、ただクラピカの背中を見つめるだけだった。
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