似てる!!
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リンの暗い表情を見て、気持ちを察したクラピカは、リンの手を自分の両手でしっかりと握って言った。
「大丈夫だ。私達がちゃんと守ってやろう。そして自分の身を守れる力をつけてやろう」
私達がそうだったように
リンが師匠に、私が両親にそうしてもらったように
『…うん。そうだよね』
大丈夫。だって私は今こうして生きてるんだから
この子もきっと
二人の心に、誓いと願いが新たに生まれる。
心配だけど、大丈夫
守ろう。強く育てよう
握りあった手に、一層の力を込めた。
「でも宝石は今見る限りではたった1つですね」
先生がお腹を広くエコーで探り、赤ちゃんの体を見回した。
『そうなんだ。どこに?』
「鎖骨と鎖骨の中心を下ったところ。胸の真ん中辺りですね。
大きな丸い石がひとつ」
その言葉を聞いて、リンとクラピカはギクッとした。
胸に宝石…
いや、まさか。この子は男の子
たとえそれが赤い宝石であろうと関係ないはず
「その石の色…は…やはり見る事はできないだろうか?」
無理だろうとは思ったが、念の為クラピカが尋ねてみる。
「それはエコーではわかりませんね」
予想通りの答えが返って来た。
『男の子っていうのは絶対間違いないんですか?』
「産まれるまで100%と言い切る事はできないんですが、まぁ、正直私の経験上では…100%ですよ」
クラピカとリンは見つめ合い、目と目で会話をした。
男の子───なら大丈夫
女神には成り得ない
胸に宝石というのはたまたまだ、と───
検診を終え、二人は病院の外へ出た。
雪は更に強くなっていて、早くも景色を真っ白に埋め尽くしていた。
玄関から一歩足を踏み出すと、ブーツの底が深く沈んだ。
『わ。おもしろい!』
まだ誰にも踏まれていない白い絨毯の上を、喜んで駆けて行くリン。
「リン!傘を…」
『大丈夫!』
後ろからのクラピカの声に、前を見たまま返事をする。
「体を冷やす。子供に悪いぞ」
『…はぁ~い』
渋々立ち止まり、クラピカが追い付くのを待つ。
その間に、貰ったエコー写真をポケットから取りだして眺めてみた。
写っている可愛い我が子は、やはり端正な顔立ちで何度見てもクラピカにそっくりだ。
こんなに小さいのに…
こんなに顔もハッキリしてるなんて
リンは微笑み、また涙が滲んで来た。
そして雪の中をゆっくり辿り着いたクラピカが、誰もいない真っ白な一本道の真ん中で、リンの体をギュッと強く抱き締めた。
リンもすぐにクラピカの背中に腕を回し、きつくしがみついた。
言葉はなかった。
色んな想いが溢れてきて、言葉にならなかった。
初めて子供の顔を見て、とても幸せな気持ちになった。
宝石を持っていても、必ず守ろうと決めた。
男の子とわかって、本当に安堵した。
それなのに……
二人の胸に、説明のつかない嫌な予感が同じように生まれていた。
根拠はないのに、それはもう確信に近く、ただ互いを強く抱く事で不安を打ち消そうとしていた。
雪が景色を真っ白に変える、寒い冬の日の事だった。
~続く~