似てる!!
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先生は自信たっぷりにハッキリと言った。
断言した。
「ほらぁ、見えました?
男の子!男の子ですよ~!」
聞いた瞬間、リンはすぐにクラピカを見た。
クラピカの表情に変化はない。
しかし、その心は痛いほど伝わってきた。
膝元に置かれた両手が拳を作り、ただ静かに瞳を閉じた。
男の子─────
これでリンは助かる
もう何も心配しなくていい
失わずに済んだ
何もかも─────
クラピカはただただ感謝した。
全ての人に。
万物に。
運命…そして神に。
リンの瞳からは大量の涙。
本当は半ば諦めていた。
それがまさか………
この子を抱ける
一緒に生きられる
クラピカと離れなくていいんだ……!
リンの心に湧いたものも、また感謝だった。
クルタ族とジュエリストの仲間たち、師匠…
皆が助けてくれたんだ
そう思った。
『クラピカ…』
診察台に横になったリンが、傍らに座るクラピカに手を伸ばす。
「ああ…」
クラピカも応えるようにその手を握った。
側にいられるんだ…
これからもずっと…!
それは人生に味わった事のない程の深い安堵、歓喜、解放感。
触れた互いの手の温もりを、これ以上ないくらいに大切に噛み締めた。
「そ、そんなに男の子を願ってたんだ?」
先生は何も知らずに二人を見てキョトンとしている。
「本当に性別だけでそんなに喜んでくれるなんて。今日は外来患者も少ないし4Dエコーもしていかれたら?」
先生が二人の様子を見て提案してくれた。
『え!この病院にあるんですか!?』
「受付の所に書いてますよ。別料金ですけど」
4Dエコーとは、お腹の中の赤ちゃんを顔や手足の指先まではっきりリアルに見る事ができる最新の機器。
『顔とかどっちに似てるかわかるんだよ!ねぇしていい!?いいでしょ!?』
「ああ、もちろんだが…そんなにはっきりわかるものなのか?」
「結構パパさん達も驚かれますよ」
先生が看護婦さんに指示を出して準備をする。
胸のつかえも降り、心置きなくはしゃぐリン。
『どんな顔かな!?クラピカに似たら色白で綺麗だね!でも私に似た男の子も見てみたい!!
どっちに似ても足は速いよね!頭はクラピカに似てくんなきゃ!あ、男の子でも料理は教えたーい!でも性格が私に似てたら手が焼けそう~!』
リンの大きな独り言を聞きながら、先生も看護師もクスクス笑っている。
「どちらに似ても健康ならいい」
微笑むクラピカと視線を合わせ、幸せそうにリンも笑う。
クラピカにしては珍しく、医師や看護婦の前にも関わらず手は繋いだままでいてくれた。
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