シークレット
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結婚式が終わり、その夜はクラピカとリンも皆と同じホテルに泊まった。
夕食は部屋でルームサービスを取り、ひとつの部屋に集まって飲み直した。
レオリオだけは具合が悪そうに別室に篭っていた。
『は~~~!やっぱ普段着は楽でいいね!』
「でもドレスすっごく似合ってたよ!ねぇ、キルア?」
「俺に振るなよ」
余ったケーキを尚も食べ続けながら、ゴンを睨むキルア。
「キルアくん可愛い!あーんしてあげよっか?」
メイカが自分のケーキをキルアの口元に運ぶ。
「そーゆー事はあのオッサンにしてやれよな」
「でも死んでるし~!つまらないの」
「明日まで残るでしょうね。薬、飲ませてあげなくちゃ」
センリツが自分のバックを漁って薬を探す。
「そうだな。二日酔いの薬は持っていないかもな」
そこまで親切にする気のないクラピカは、言いながら溜め息をつくばかり。
『レオリオいつもそうだよね!また吐くのかなぁ?』
呑気に部屋のベットであぐらをかいているリン。
グレスが心配そうにその姿を見つめている。
「リンさん、体調はどうですか?あれから変わりは?」
楽しく会話する皆に悟られぬよう、タイミングを見計らってさりげなく側に寄って来た。
「今日も注意して胸の石を見ていましたが、ひとまず大丈夫でしたね」
『うん、今日はホントいつもより調子いいくらいだったよ!
てゆーかあれ以来どうもないの。嘘みたいに治っちゃった!』
リンが両手を元気に振り回した後、ガッツポーズを作ってアピールする。
「良かった。やっぱりつわりの一種だったのかも知れませんね」
グレスもホッとしたようにその顔に笑みをこぼした。
そう。旅行から帰る飛行機での発作以来、痛みどころかダルさも胃のもたれもない。
不思議なくらいに調子は良かった。
でもまた必ず発作は来る。
リンは確信していた。
『ごめんね、グレス…心配かけて』
会話に夢中になりながら楽しく飲んでいる皆を傍観し、リンは横顔で謝った。
「何を仰います!たった一人の同族じゃないですか。心配くらいさせて下さい」
リンの方を真っ直ぐ向いてグレスが力強く言った。
『私がいなくなったら、グレス一人になっちゃうね』
「!!やめてください。
…何かわかったんですか?子供の事…」
『まだ何も。でも…もしかしたら…』
視線を窓の外へ移し、目を細める。
都会は星が少ない。
代わりに街の景色は宝石箱のようにキラキラ美しい。
「やめましょう、こんな話。今日みたいな日に」
皆の元へ戻ろうとグレスが腰を上げた時、リンが腕を掴んで引き止めた。
『…グレスにね、大事なお願いがあるの』
張り詰めた表情…掠れた声…。
「……?俺にできる事なら何でも……」
引かれるまま、もう一度ベットに座り直すグレス。
その手を握ったまま、リンはグレスを見つめた。
『すっごく迷惑…かける事になるけど…』
「俺は貴女の為なら何でもします。言って下さい」
グレスはリンの手の上から自分の手を重ね、微笑んだ。
『大事な…大事なお願いなの』
貴方にしか、頼めない
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