結婚式ー後編ー
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『クラピカぁ!キルア~~~~!!』
下からリンが二人を呼び、手を振っている。
クラピカが手を振り返すと、ドレスの裾を掴んでヒールを脱ぎ、階段を駆け上がってきた。
『クラピカ~~!!』
嬉しそうに向日葵のような笑顔を咲かせて、体に纏った花を散らせながら…
まるで本物の天使のようだ。
クラピカとキルアはその姿を、同じ痛みを持って見つめていた。
ああ…この娘を失いたくない
この笑顔をずっと見ていたい
この先もずっと……
『二人で何やってんの?一緒にみんなのとこ行こうよ!』
二人の気持ちなど知るはずのないリンは、満面の笑みで二人の腕を引っ張った。
『レオリオがクラピカに飲ませるって張り切ってるよ!』
「またか、あの男は。もうだいぶ飲んでいるようだし私より先に潰れるだろうに」
『あははは!ホントもうかなり出来上がってるよ』
二人が笑いながら会話する様子を、キルアは張り裂けそうな思いで見つめていた。
『キルアも!私は飲めないけど、お酌くらいするよ?』
視線に気付いたリンが、キルアの顔を覗き込んだ。
「13歳に勧めるな。キルア、行こう」
暗い顔で立ち尽くすキルアを、クラピカも微笑みながら促した。
その穏やかな瞳から、クラピカの胸の内が伝わってきた。
───キルア
今は、何も
ただ、見守ってやって欲しい
頼む…
キルアは密かに拳を握り締めながら、笑みを返して言った。
「よし、俺がレオリオを完璧に潰してやる」
そして、クラピカとリンを追い越し、階段を一気に駆け降りていった。
本当はリンに言いたい事があった
「死ぬな」って
何を諦めても、みんなお前が一番大事なんだって
キルアのその想いは、伝えられる事なく風に消えていった。
下へ降りると、レオリオが限界とばかりに目を回し、グレスの肩を叩きながら叫んでいた。
「つ~か何でアンタそんな強いんだよ!俺より飲んでんじゃねーか!」
「んもう、レオリオさんたら水飲みなさい、水!」
既にへべれけなレオリオに対し、一方のグレスは全くのシラフ状態。
「はは…一応俺こんなでも28ですから…その分鍛えられてるだけかと…」
謙遜しつつ、注いだばかりのグラスをまた空ける。
「つーか俺も混ぜてよ」
キルアが自分のグラスをタンッとテーブルに置き、酌を促す。
「あら、貴方まだ未成年でしょ?」
すかさずセンリツが突っ込む。
「そうだよ!キルアが酔っ払ったら俺が運ばなきゃいけないんだから飲んだらだめ!」
「一度も運ばした事ねーだろ!」
キルアとゴンがいつもの如くやりあいだした。
『私が参加したら確実に一番なんだけどな~。一口くらい良くない?』
リンが誰のものかわからないワイングラスを手に取ろうとしたその時、クラピカが横からサッと取り上げた。
「馬鹿者。絶対駄目だ」
『なぁ!!一口!一口だけだから!』
「一口飲んだら止まらなくなるだろう」
『そんな事ない!みんな飲んでるの見ると私も我慢できない~~!!』
「駄目だと言ったら駄目だ!」
しつこくグラスを奪おうとするリンを撒くために、クラピカは走ってチャペルの奥の林へ向かった。
『なんで!?一口だけ~!!』
「お前は母親だろう!」
『ストレスが一番悪いって先生言ってたし~~!!』
リンはクラピカを追い掛けて走った。
「リン、走っちゃダメよ!」
『は!!そうでした!!』
センリツの声に、慌てて早歩きに切り替える。
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