結婚式ー前編ー
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「それじゃ私は皆のところへ行くわね」
気を利かせたセンリツが、先に部屋を出て行った。
二人きりになり、いつもと違うお互いの姿に少し照れてしまう。
『…白のタキシード、すっごく似合ってるね』
「リンも、見違えたよ」
クラピカはリンの足下に片膝をつき、手を取った。
『クラピカ…』
「私と結婚してくれてありがとう。お前を妻に迎えられて、私は幸せだ」
『…やめてよ…』
ジワリと、早くも涙が滲んでくる。
ありがとうは私の方でしょ…
私が好きになったんだから…
私が、私の人生に貴方を巻き込んだんだから…
「泣いたら化粧が崩れるぞ」
クラピカは微笑みながらリンを見上げた。
そして、リンの手にキスをした。
「神に誓う前にお前に誓おう。生涯、リンだけを愛すると」
リンは流れそうになる涙を慌ててハンカチで拭いながらも、クラピカの言葉に答えた。
『ずるいね、やっぱ…
でも、私を選んでくれて…ありがとうクラピカ!』
ひざまずくクラピカに、リンは思いきり抱きついた。
こんな日が本当に来るなんて、出会った頃は思ってなかった。
全ての巡り合わせに感謝してる。
生まれてきて、本当によかった。
クラピカもリンを抱き止めて、瞳を閉じた。
出会った運命に感謝しながら……
「皆のところへ行こう。きっと待っている」
『うん…うん…!』
二人は手を繋ぎ、一緒に部屋を出て皆のいる外へと向かった。
一歩一歩、この良き日の幸せを噛み締めながら歩いていく。
長く薄暗い廊下の終わりに、眩い陽だまりが待ち受けていた。
今日は晴天。
式は外で取り行うのだ。
光のカーテンを潜るように外へ出ると、色鮮やかな花々に囲まれた芝生の庭が広がり、大きな鐘の下で牧師が待っていた。
出てきた二人を、皆が拍手で迎える。
「きゃああああああ!!リンちゃん綺麗~~~~!!」
メイカが涙ぐみながら一番に叫んだ。
「リンすっごい綺麗!!本物のお姫様みたい!!」
「おめでとう〜!二人とも!」
「ぅおいっ!!誰だありゃ!!別人じゃねーかよ!!」
「……………」
そこにいた皆が、見違えるように美しくなったリンの姿に、目を奪われた。
キルアについては言葉すら出なかった。
隣りにクラピカがいるのに、よりにもよってこんな日に、惚れ直してしまうなんて
皮肉すぎて笑える。
「……おめでとう」
聞こえない位の小さな声で言った。
でも、心からの言葉だった。
そして―――
「おめでとうございます、リンさん!」
『えっ?』
聞き覚えのある声に振り返ると、そこにいたのは世界にたった一人の同族…
靴屋の奥から覗いていた女性と並んで拍手をする、グレスの姿があった。
『グレス!!どうして!?』
「クラピカさんから連絡を頂いていたんです。飛行機の往復チケットまで送って下って…
呼んで頂いてありがとうございます」
二人は深々と頭を下げた。
「こちらこそ、遠いところから無理にお呼びだてしてすまなかった」
クラピカも応えて頭を下げる。
『ありがとうクラピカ……ありがとう、グレス!』
クラピカ、自分の一族はいないから呼びたくても呼べないのに……
私のために……
こんな時にまで、リンは彼の深い優しさを思い知らされるのだった。
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