神様…
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リンはクラピカの方を見て、何か言いたげな様子で口を開いた。
しかし…何故かそれを飲み込んだ。
「どうかしたのか?」
グレスに掛けようと、携帯の発信ボタンに手をかけたまま、クラピカが問い掛ける。
すると、リンは一瞬にして笑顔になり、首を横に振った。
『ごめん!!やっぱり街には出ないでホテルの向かいにある鶏料理屋のお弁当が食べたいな!』
「弁当?明日の昼にでも買って帰ればいいだろう」
『今食べたいの!!急に食べたくなったの!!
ロビーですれ違ったカップルが美味しかったって話してるの聞いたんだもん!』
「グレスさんはいいのか?」
『また今度!私は部屋でお茶を淹れとくからクラピカ買って来て?』
急かすようにクラピカの背中を押すリン。
「そんなに腹が減っているのか」
『ペコペコでーす!』
クラピカは「仕方ないな」と言って、一人、ホテルの向かいにある店に向かった。
リンは笑顔で手を振りながら、その後ろ髪を見送った。
そしてクラピカが遠のいて見えなくなった時─────
リンはその場に崩れるように膝をつき、うずくまった。
『はぁっ………あっ………く………っ…』
胸を刺されたような痛み。
クラピカに悟られぬよう振る舞う事ができたのが、奇跡に近いほどの激痛に、突如として見舞われた。
冷たい汗が体中を滴る。
呼吸も儘ならない。
こんなのは初めてだ。
痛すぎて鳥肌が立つ。
一体、何故………!?
リンはゼーゼーと息を切らせ、必死に胸の宝石を押さえる。
胸元に目を遣ると、宝石はまた色を鈍く変えていた。
それは既に、赤というより黒に近かった。
朝よりも酷い状態なのだと物語っている。
リンはどうしようもない痛みに胸を掻きむしりながら必死に耐えた。
『…っ…クラピカに……気付かれなかったよ……ね…?』
何とか平静を装った。
絶対に心配をかけたくなかった。
でもこのままここに留まっていても怪しまれる。
早く部屋に帰ってお湯、沸かさなきゃ………
リンはお腹にそっと手をあてて優しく撫でた。
『…大丈夫だからね。ママ…頑張るよ…一緒に頑張ろうね…』
リンは自らを奮い立たせ、何とか立ち上がった。
大丈夫……
私は頑張れる
だって決めたんだもん
絶対に赤ちゃんを無事に産んで、クラピカと一緒に育てると
三人で生きて行くんだと
眩暈がしそうな位の痛みに耐えながらも、リンは真っ直ぐ前を見据えて歩き出した。
……神様って本当にいるのかな?
もし存在するのなら
どうか私に二人を守り抜く力を
力をください
~続く~