神様…
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結局そのまま部屋から出る事なく、昼食もルームサービスを取った。
リンは「平気だ」と言いながらも、ほとんどベットに横になっていた。
『やっぱつわりかなぁ?食欲はあるんだけど…今日はごめんね、クラピカ』
「私に気を遣わなくていい。それより、辛いなら構わず寝ていろ」
『大丈夫だよ。そうだ!こないだの海の散歩コース、歩きに行こうよ!』
勢いよくベットから体を起こし、リンはソファーで本を読んでいたクラピカを誘った。
「…ああ。行こうか」
リンの様子を窺い、少し考えた後、クラピカは手元の本を閉じて立ち上がった。
こないだと同じ、晴れた日の夕方の海はとても綺麗で、海に溶けて行くように滲んだ夕日が、空一面を緋色に染めていた。
浜辺のさざ波の音を聞きながら、ゆっくりと手を繋ぎ、裸足で歩く。
『気持ちいいね!サラサラしてる!』
クラピカの手を放し、リンは一人で砂浜を駆けて行った。
「走るな、リン!」
『あっ!そうでした!』
リンは慌てて立ち止まり、クラピカを振り返って笑った。
沈む間際の太陽が、リンの笑顔も真っ赤に染めて、潮風が長く伸びた髪をなびかせた。
現とは思えないほど、幻想的な瞬間。
何故か目の前にいるリンが、酷く遠く感じた。
まるで幻のように、手を伸ばせば消えてしまいそうな気がした。
もうすぐ本当にそうなるかも知れない。
失うかも知れない。
「リン……おいで」
クラピカが両手を広げて呼ぶと、リンは満面の笑顔でクラピカの胸に飛び込んだ。
『クラピカー!へへへ』
リンは幸せそうにクラピカの腕に甘える。
クラピカはリンの体を強く抱いて瞳を閉じた。
温もりが優しくて、涙が出そうになる。
「…リン。帰ったらまた病院へ行こう。胸の宝石の事も、ちゃんと調べてもらおう」
『うん、そうだね。ちゃんと診てもらうね』
二人はそのままずっと抱き締めあって、一緒に去り行く緋色を見送った。
「夕食は何がいい?ホテルにレストランもあるが繁華街も近い。食べに出る事もできるぞ」
ホテルに戻る帰り道、散歩コースをのんびり歩きながらクラピカが尋ねた。
『そうだな~、あ!グレスと彼女を誘って四人でご飯は!?』
「私は構わないが、彼らも忙しいのではないか?」
『一応誘ってみようよ!もしオッケーならダブルデートだよ!?初めての!!』
予定が決まる前からはしゃぎ始めるリン。
クラピカはクスクスと笑って「訊いてみよう」と携帯を取り出した。
嬉しそうに顔を綻ばせるリン。
自然と足取りも軽くなり、スキップでクラピカを追い越した。
しかし、何故かふと立ち止まって静かになり、前を向いたまま天を仰いだ。
「…リン?」
不思議に思い、声をかけるクラピカ。
リンがゆっくりと振り返る―――
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