神様…
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この宝石の変化に関して何か知らないかと、クラピカはグレスに連絡を取った。
グレスはワンコール目の途中で電話に出た。
そして事情を説明すると、心配してすぐにホテルに駆け付けてくれた。
「リンさんっ!!大丈夫ですか!?」
息を切らせながら汗だくでやって来たグレスを、リンは笑いながら出迎えた。
『あはは、何もそんな慌てて飛んで来なくてよかったのに!ごめんね~!』
朝とはうって変わって元気なリン。
グレスはキョトンとしている。
「本当にすまない。貴方も忙しいだろうに」
「は!!あ、いえ、大丈夫です!!それよりリンさんは…宝石の色が変わったとか…」
『もう何ともないよ!さっきはホント体が重くてしんどかったけどね』
リンはシャツの胸元を少し下げて二人に宝石を見せる。
確かにそれは、いつもと変わらない美しい真紅をたたえていた。
「宝石が変色……聞いた事ないですけどね。
もし本当ならリンさんの中の何らかの変化を表しているんじゃないでしょうか?」
『変化?妊娠とか?』
「もしくはその赤ちゃんに何かあるか……」
グレスは堪らず語尾を濁す。
『無事に育ってないって事!?』
「いえ、そうじゃなくて…赤ちゃんが貴女と同じ特別な力を持っているとか…」
少しあからさまかとも思いながら、グレスは暗に"その可能性"を伝えた。
リンも一瞬、表情を凍り付かせたが、すぐにまた、いつもの笑みを見せた。
『ま、考えてもまだどうせ赤ちゃんちっこくて性別も宝石もわかんないし!心配するだけ損損!』
何とか空気を変えようと、なるべく明るい声で言った。
何を言っても撥ね付けられる、堅固な意思。
この先、何があろうとも気持ちを変える気はないのだと、はっきり伝わってくる。
グレスはクラピカに気を配ると、視線が合った瞬間、クラピカは微笑んで頭を下げた。
そして唇の動きだけで「ありがとう」と言った。
リンの心は変わらない。きっとずっと
何があろうと諦めはしないだろう
もちろん、先に異変があればすぐにリンを守る為の手は尽くす
…だがそんな事は起こらない事を願っている
信じるしかないのだ
いつか来る、家族三人で暮らしているであろう未来を
「…リン、体調が良くなったのなら少し外に出るか。グレスさんも一緒に」
『そうだね!ご飯まだ?一緒に食べよう!!』
リンはグレスの腕を掴んで笑顔で誘った。
「あ…せっかくですが、まだ店番もありますし、今日はお二人でゆっくりなさって下さい」
申し訳なさそうに眉を下げ、グレスはそっとリンの手からすり抜けた。
『そっか。仕方ないね!また連絡するね!頑張って!』
「はい、貴女も。くれぐれもお気を付けて!」
リンはエレベーターまで見送り、部屋の窓からグレスが帰って行くのを見つめていた。
『クラピカ…ごめんね。いつも心配かけて』
窓の外を見たまま、リンが言った。
クラピカはリンに歩み寄り、その背中をそっと抱いた。
髪に唇を寄せると、リンは振り返ってクラピカを見上げた。
二人の間に言葉はなかった。
黙ったまま見つめあう互いの瞳が、いつになく悲しい色をしていた。
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