神様…
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「…リン…」
『……ん』
「朝だぞ。そろそろ準備をして出発しよう」
『…う…ん…きもち…わるい…』
「大丈夫か?」
『………起きれない………』
いつもなら、楽しい予定のある日は、寝てなくてもクラピカより先に起きるのに、その日の朝は違っていた。
「吐きたいのか?待っててくれ、すぐに袋を用意する」
『大丈夫…出ない、多分…』
目を閉じたまま、眉間に皺を刻んで身を丸めている。
こういう時、秘密を抱えるリンの体は医者に見せる事ができないから厄介だ。
妊娠中なので今は薬も飲めない。
仕方なく、容態を診ようとリンのシーツを下げた瞬間、クラピカは驚いて目を見開いた。
リンの胸元に埋まった赤い宝石が、色を鈍く変えていた。
まるで鮮やかな赤に、黒や茶色を落としたように────
「リン!お前……」
ドクッと強く跳ねた心臓が、そのまま早々と脈を打つ。
大きな不安が胸を覆い、自分の体が冷たくなっていくのがわかる。
「リン!病院へ行こう!」
『大丈夫だって…ホント…』
リンは辛そうに枕に顔を埋めた。
結局リンはどうしても嫌だと言って病院行きを拒否した。
起き上がる事もできないリンの為に予定を変え、その日も同じホテルに泊まる事にした。
「すまないレオリオ。こちらから誘っておいて…」
「気にすんな!それよりリンは大丈夫かよ?つわりが始まったんじゃねーのか?」
「ああ…だといいんだが…」
今までに見た事もない位、具合の悪そうなリンの姿。
どうしようもない胸騒ぎが体を支配する。
体調の変化が宝石の色を変える?
過去にそんな事は一度もなかった
一体リンの体に何が起こっているのか……
「俺の知り合いのツテで闇医者を紹介する事はできるぜ。腕は確かだ。
リンはそんな体だしマトモな病院には行けねぇだろ?」
「いや、一応かかりつけの医師はリンの秘密を知っている。信用できる人物だ。
…だがどちらにしろ今はリンがここから動く事はできない。遠い場所へは行けない」
『……クラピカ』
レオリオとの会話を聞きながら、リンはようやく体を起こし、クラピカを呼んだ。
ベランダで風に当たりながら話していたクラピカは、「またかける」と言って電話を終え、すぐにリンの側へ駆け寄った。
「リン、まだ寝ていろ。無理しなくていい」
『うん、なんか…今大丈夫』
少しはだけた部屋着の胸元から覗いた赤い宝石は、もう元の透き通った鮮やかな赤に戻っていた。
『もう大丈夫。てゆーか午前中を無駄にしちゃったね』
「そんな事はどうでもいい。とにかく…お前が少しでも良くなったならよかった」
クラピカはリンの手を取り、自分の頬にあてた。
『心配性だなぁ』
安堵の溜め息を漏らすクラピカを見て、リンが無邪気に笑った。
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