願いと祈り
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ひとまずグレスと別れ、リンとクラピカは予約していたホテルに行き、チェックインを済ませた。
クラピカは電車の中でも、窓の外に視線を向けたまま、口を開かなかった。
クラピカ……
私は死なない自信があるよ
死ぬ気がしない
これからまだまだやる事沢山あるんだから
この子に教えたい事もあるし
何より、クラピカを置いて死ねるわけない
もう二度と悲しい思いはさせないって誓ったんだから
…でもごめん…
もし本当に死ぬ事になっても、私は絶対この子を産む
クラピカなら同じ気持ちでいてくれると
信じてる
「……リン」
『なぁに?』
部屋に入り、荷物も置いて一段落ついた時、クラピカがやっと口を開いた。
「お前は信じるか?彼の話を」
『基本的には信じてない。でも本当だったら…どうしようかなぁと』
確かめる術がない。
ちゃんと産むまで真実はベールの向こう。
「私は…信じる。いや、信じないで何もしないよりは、真実だと仮定して何か手を考えた方がいいと思ってる」
『"手"って?』
何の気なしに、リンはクラピカに問い掛けた。
しかし、クラピカの心は苦悩に苛まれていた。
不安だからこそ、今リンに伝えなければならないのに、口にする事は、とても辛く悲しい。
クラピカは迷っていた。
迷いながら、それでも言った。
「……リン。これから子供が成長して性別がわかるようになった時に、もしもこの子が女の子なら……
産むのを諦めて欲しい」
『…………え』
気付けば繋がれていた手の冷たさに気付き、リンはクラピカの悲しい顔を見つめた。
子供を……諦める?
お……堕ろすって……事………?
『クラピカ……本気?この子は……この赤ちゃんは私とクラピカの初めての子供だよ!?何の罪もないのに!!』
「わかっている!!私だって本当は産んで欲しい!!
だがお前がいなくなる位なら…私は生涯子供を諦める事を選ぶ!」
『待って…待ってよ…落ち着いて考えよ!ちょっと…クラピカがそんな言うなんて考えてなかったから、頭ん中が整理できない…追い付かない…』
「軽蔑するならすればいい!いくらお前に蔑まれても、それでお前が生きてそこにいてくれるのなら、私はそれで構わない!」
『そういう話じゃ…ないよぉ…!クラピカ、あの話には何の確証もないんだよ?なのに…なのに…!』
クラピカの気持ちは痛い程わかる。
それを受け入れられないのが辛い。
けれど。
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