ねぇ赤ちゃん
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「ジュエリストの島…か」
クラピカは難しい顔をして視線をパソコンの画面に戻した。
実は、グレスとリンが出会ってから、クラピカはジュエリストが生きていたという島について調べていた。
ハンターライセンスを駆使してあらゆる所から情報を集めようと試みたが、それはとても困難を極めた。
あまりに情報が少なすぎる。
どのキーワードにも引っ掛からない。
ネット検索だけでは限界を感じ、クラピカはある人に連絡を取った。
ハンター協会会長、ネテロ氏。
彼はクラピカからの突然の連絡に驚いた様子もなく、話を聞いてくれた。
リンの育ての親、アルト氏がその島に行った事により、彼から直接話を聞いていたネテロは、やはりジュエリストの島の場所を知っていた。
しかし─────
その島は、世界一広い海の真ん中にあり、近付こうとすれば必ず嵐に遭うという。
空から向かってもいきなり電磁波が狂い、ハンターを向かわせた飛行機が墜落した例もある。
神に守られた島───
神が生んだ部族。
あらゆる所以からそう呼ばれた。
リンがジュエリストの生き残りだという事は、信頼する部下にも言ってはいないそうだ。
「行くな」
ネテロ氏からはそう強く止められていた。
だが──────
「…リン、お前が行ってみたいと思う気持ちはわかる。だが行ってどうする?
ここが故郷なのだと実感したいだけか?」
クラピカは机に向かっていた椅子をリンの方へ向けて、真っ直ぐに向き合うと、強い眼差しでリンに問い掛けた。
『…う~ん、改めて問われると…まぁ、そういう事かな?
でも今はお腹に赤ちゃんができて、まだ生まれてないけど皆にこの子を見せに行きたいっていうか…』
「島の場所は知っているのか?」
『わかんないけど、そういうのって調べればすぐわかるんじゃない?』
「どうしても行きたい訳じゃないのなら、今は我慢しておけ」
理由も言わず、また調べようともせず、何故かクラピカはとても申し訳なさそうな、複雑な表情で。
『クラピカ……』
何か知ってるんだね
いや、島の場所……
調べてくれたんだ
きっといつか私がこう言い出すのを見越して…
私の為に……
『危険なとこなら行かないよ。安心して』
リンの落ち着いた声に、クラピカはハッとした。
「だが…仲間が暮らしていた場所、お前も行ってみたいのだろう?」
『そだね。でも今はお腹に赤ちゃんもいる。私の危険はこの子の危険。
いつも通りの無茶はもうできなくなっちったよ』
リンはわざと軽く笑ってみせた。
優しいクラピカがそんな辛そうな顔してくれるから、冷静にもなれる
ありがとう…ごめんね
『私が行きたい所はクラピカの行きたい所!沢山楽しもうねっ、この旅行!!』
クラピカの胸に甘えるように顔を埋めると、当たり前のように抱き締めてくれる温かい腕。
この腕だけ、あればいい
もう困らせたりしない
私だってお母さんになるんだから!
しかし、この旅行でリンはまた新たな真実を知り、新たな壁に直面する。
今はまだ知らずに、幸せを約束されたはずのクラピカとの未来に、夢を思い描くのだった。
~続く~