結晶
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『…あ、あの…クラピカってさ……こっ…子供好き……?』
超小声かつ、どもりまくりのリン。
しかも唐突。
クラピカは目を丸くしてこちらを見つめる。
「どうした?いきなり」
『私、子供……あんまし遊んだ事ないから……わかんないんだけど……く、クラピカは、どうかなぁと思って……』
「???
私も今まであまり子供と接する機会はなかったから、世話は上手くはないだろうが…嫌いではないと思う」
『そっか……クラピカ……あ、あのね………』
「?何か話があるのだろう?遠慮せずに言ってくれ」
もう一度椅子に座り直したクラピカは、落ち着かないリンを不思議そうに眺めている。
子供ができたなんて、まったく予想もしていない様子。
クラピカ……
私……私ね、
少しの間、クラピカと離れて旅団の奴らと決着つけてやろうと思ってたんだ
……なのにね……
そう決めた途端、クラピカとの赤ちゃんがお腹にいるってわかった
まるで、クラピカの傍から離れちゃ駄目だよって言ってるみたいに……
……役に立てなくなっちゃったけど、許して欲しい
喜んで欲しい
クラピカ…………
『…私、あっ………赤ちゃん、できたよ……』
そう言葉にした途端、堰を切ったように涙が溢れ出してきた。
色んな想いが混じり合った複雑な涙だったけど、子供ができた事への嬉しさが一番だった。
『……クラピカとの、赤ちゃんできた……ごっ……ごめんなさい……』
決着、つけられなくなって…ごめんなさい……
涙を流しながら俯くリン。
コトン、と
コーヒーカップをテーブルに置く音が、静かな部屋にとても響いた。
怖くて顔が上げられない。
「…リン…それは…本当か?」
クラピカの声はいつも通り平静で、感情は読み取れなかった。
リンはコクンと深く頷いた。
すると、クラピカが席を立つ音に次いで、静かな足音が近付いてきた。
目の前で止まる気配。肩に手を掛けられる。
「顔を上げてくれ、リン。ちゃんとこちらを見て言ってくれないか」
クラピカの声は深く優しく、穏やかで、リンはゆっくり顔を上げた。
『うっ……クラピカ……ごめっ…なさっ…』
既視感を感じさせるような、グシャグシャの泣き顔。
クラピカは柔らかく微笑んだ。
「何を謝る事がある?本当に子供ができたのならば、それは願ってもない事だ。
お前と私を繋ぐ、血を分けた子供。こんなに喜ばしい事が他にあるか?どうか謝らないでくれ。
私は……この上なく嬉しい!」
クラピカは思いきりリンを抱き締めた。
そして幸せを噛み締めるようにキスをした。
『…っクラピカ……ありがと……ありがとうっ』
「お前が産むんだぞ!ありがとうは私の方だ。待ち遠しい!」
クラピカの声は今まで聞いた事もない位に明るくて、それがどれ程の喜びなのかを感じさせた。
最初から拒絶されるとは思っていなかった。
しかし、クラピカの喜びに溢れた声を聞いて、リンは心底嬉しかった。
二人を強く結びつける絆が、今また新たに息吹を起こし始めた。
~続く~