結晶
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『…心音が…2つって……私、病気?』
リンの間抜けな返答に、センリツは思わずコケそうになった。
「そうじゃないわよ!わからない?
貴方の力強い心臓の他に、耳を澄ませると小さくリズムの違う心音が聞こえるの。
…つまり、貴方のここに、新しい命がいるって事よ」
そう言いながら、センリツはリンの下腹部に手を宛てた。
『………ここに?新しい命って…………あ………かちゃん………てこと………?』
いまいちピンと来ない様子で、自分のお腹を見るリン。
「おめでとう、リン。若いお母さんね。体、大事にしなくちゃね!」
センリツが穏やかに微笑み、祝福の言葉をくれた。
『あかちゃん……いるの?………ホントに……???』
お腹に手をあて感覚を確かめようとするが、感じられるような何かはない。
「クラピカより先に知っちゃってなんか悪いわね。ふふっ。
でも早く伝えてあげるといいわ。彼、執務室にいるから」
センリツはリンの腕をポンッと叩き、気を利かせてその場をあとにした。
……このお腹の中に……
あ………赤ちゃん………
クラピカの………
……クラピカと、私の!
気付けば、自然と涙が溢れ出していた。
愛する愛する人との赤ちゃんが、今私の中で生きている
二人を繋ぐ、大切な愛の結晶
クラピカに愛された証
『……クラピカ……』
クラピカに知らせなきゃ…
クラピカのとこに行かなくちゃっ!!
リンは地面を蹴って走り出そうとしたが、思わず踏みとどまった。
『あ!!走っちゃいけない!!危ない危ない…』
そしてゆっくり歩きながら、クラピカの執務室に辿り着き、一度深く深呼吸をしてから扉をノックした。
──コンコン───
『……リンです』
そう名乗ると、中から「どうぞ」と声が返ってきた。
──ガチャッ
『失礼しまーす…』
リンがおずおずと部屋に入り、後ろ手で閉めたドアの前から足を進めず立っている。
「珍しいな、お前がこの部屋に来るとは。センリツに聞いたか?今夜は遅くなる」
クラピカは自分で煎れたコーヒーを一口啜ってから大きめの一人掛けに腰掛けた。
執務室と言う位だから、もっと固い雰囲気で資料棚や仕事用のデスク等が置いてあるのかと思えば、だだっ広くてスッキリした、快適な一人部屋だった。
テレビやキッチン、仮眠用のベットまである。
『いいとこに住んでるね』
「何もないがな。ところで何か用があったんだろう?どうした?」
問い掛けながら立ち上がり、クラピカはリンの分のコーヒーを煎れようと、棚から豆を取り出した。
『あっ……いい、いらない!確かコーヒー、駄目って聞いた事が……』
「?いつも飲んでいるではないか」
『あ、いや……』
そうだ。赤ちゃんいる時は確かコーヒーもアルコールも駄目だったはず……
これからは食べ物や飲み物にも気を付けなきゃいけないのね
「リン?」
『え?あ、ううん!何でもない』
とにかく、今はクラピカにどう切り出すか
……子供の話なんて一度もした事なかったけど………よ、喜んでくれるかな?
リンはドアの前に立ったままで、キッチンに立つクラピカに尋ねた。
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