結晶
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あれからすぐ、クロロの住む廃ビルへ向かったシャル。
事の一部始終を直接報告しておこうと、クロロへ会いに来たのだ。
「団長──俺だけど入るよ?」
地下の部屋から返事は聞こえなかったが、確かに気配を感じるので、シャルはドアを開け中へと入った。
すると─────
「!!!わ、ごめん。そーゆー事なら言ってくれればいいのに」
「返事もしないのに入ってくるとは思わなかった」
ドアが開けたままの奥の部屋のベットに、知らない女と二人で寝ているクロロがいた。
クロロはベットから起き上がり、全裸のままキッチンへ行って水道水をコップ一杯飲んだ。
「…で、どうだった?無事に落とせたか?」
見透かしたように、わかりきった質問を投げ掛けるクロロの笑みに、シャルは眉をひそめて答えた。
「団長の予想通り!あれは無理だよ。どうやったって盗れる気がしない。
だいたい好きだって言った奴に嫌いだって返すか!?しかも毎日毎日出ていけ出ていけって!最悪だろ!」
シャルは声を荒げてクロロに溜っていた愚痴を吐いた。
「あはははっ!あいつらしいな。そう言った時のあいつの顔が想像できる」
笑いながらも、本当に未だ鮮明に浮かぶリンの顔に、胸がチリッと痛む。
あの笑顔も、泣き顔も、しかめっ面も
この先どれだけ会わなければ思いだせなくなるんだろうか
忘れる事は果たして、幸せなのだろうか……
シャルと同じように、クロロが迎えた新しい季節は、切なくも穏やかに
胸の痛みすら愛しかった。
シャルがノストラードを辞めて、数日が過ぎた。
リンは忙しくも平和に過ごす毎日に、いつ終わりが来るのかと不安を抱えていた。
あれからクラピカは不自然なほど旅団の話をしない。
クラピカが今どう思っているのか、今後また報復を目指すのか、リンはどうしても訊けずにいた。
訊くのが怖かった。
『…はー…私、やっぱり間違ってるのかも……』
結婚をして、永遠を誓って、本当に本当に幸せだったけど
私が傍にいる事がこんなにクラピカの人生を左右してしまうなんて……
迷惑かけてしまうなんて……
私が個人的に旅団と決着つけるまで、離れていた方がいいんじゃないだろうか?
そうだよ
クロロはともかく、旅団のメンバーはシャルだけじゃない
私がウボォーとやらを殺したと知れば、他にも狙ってくる奴がいるかも知れない
クラピカはもう関わるべきじゃないんだ
私は強いもん
いや、冷たいのかも
あの人を殺しても、悪夢にうなされた事は一度もないんだ
───クラピカの腕で眠る毎日が、私を守ってくれたから……
クラピカの手は、血に染めさせない
たとえクルタ族のみんなに恨まれても
もう報復の道なんて、歩かせない
そのうち私が死んで貴方たちの元へ召された時に、好きなだけ罵って下さい
……そんな貴方たちではないと、私は信じてるけど……
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