愛について
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「あっ!リン!」
てっきりクラピカの執務室にいると思っていたリンが屋敷の外にいるのが見え、慌ててシャルが引き止めた。
『ん?なに?』
シャルのいる二階を見上げて応えるリン。
「どこ行くの?」
『帰るの。今日当番じゃないし。シャルもいいよ、帰って』
「クラピカは?」
『まだ終わらないみたい。ま、今日は帰ってくると思うけど』
……は?
帰ってくるって……
「…まさか一緒に住んでるの?」
『は?うん…知らなかった?』
リンは平然とした顔で認める。
シャルは思わぬ情報に動揺したが、悟られぬように笑顔で手を振った。
「ふーん。じゃ、またね」
『バイバイ』
リンは走って帰っていった。
「…ふぅ。思ったよりずっと堪えるもんだな」
クラピカとリンが同じ家に帰る…最悪だな
一日も早く別れてもらわなきゃ
シャルは改めて作戦実行の決意を固めた。
そこに、クラピカが執務室から出て来て、またしても鉢合わせてしまった。
クラピカはシャルに気付き、瞬間、眉をしかめたが、声をかける事もなく背中を向けた。
「お疲れ!帰るの?」
シャルがわざと元気良く話しかけると、クラピカは一拍置いてゆっくりと振り返った。
「…お前はまだいたのか」
「一緒に住んでるんだってね。今からリンの待つ家に帰るわけか。羨ましいな」
「…用がないなら失礼する」
クラピカはなるべくシャルの方を見ないようにしていた。
シャルはクラピカに歩み寄り、顔を覗き込むようにして語りかけた。
「リンって可愛いね。単純だし面白いし、一緒にいたら楽しいでしょ?」
悪意を隠した、いつものお得意の笑顔。
「俺、リンが好きになったんだ」
…その言葉の終わりと同時に、クラピカの拳が顔を目掛けて飛んできた。
とっさに身を屈めて避けたが、僅かに髪を掠めた。
クラピカの目には黒いコンタクトがはめられていたが、その奥では朱い炎が瞳に写るシャルの姿を燃やしていた。
「貴様…っ、リンに近付くつもりなら今ここで殺してやる!」
クラピカは我を忘れてオーラを溢れさせ、鎖を取りだし構えた。
「意外と短気だな~。俺たち蜘蛛が関わった時だけ?それとも…リン?」
「黙れっ!!」
笑みを浮かべるシャルの心臓目がけて、クラピカは鎖を放った。
その時!
『クラピカ!!』
「!?」
クラピカの後ろから制止するようなリンの叫びが聞こえた。
「……帰ったのではなかったのか」
クラピカは一瞬にしてオーラを鎮め、鎖を引いた。
『…よ、余計な事とは思ったんだけど…何か心配になって…』
リンはシャルとクラピカを交互に見比べ、最悪の状況に戸惑っている。
『やめてクラピカ…ここ、どこかわかるでしょ……?』
「大丈夫!本気じゃないよ。ごめんね、驚かせて!」
クラピカが答える前に、シャルが満面の笑みで明るく言った。
クラピカはその笑顔を見るだけで頭に血が昇り、憎しみに意識を奪われそうになった。
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