愛について
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その頃、幻影旅団のアジトでは、団員の一人であるマチがクロロを呼び出して、旅団のこれからの活動について話をしていた。
「で、どうするの?旅団には戻って来たけど、今までみたいな活動はしないんだろ?」
「ああ。やる時はお前らだけでやれ。俺は指令もしない」
瓦礫に腰掛けるクロロの前に立ち、腕を組んで見下ろすマチ。
「あたしは別にそれでもいいけど。他の奴らが納得するかね?たかが女に毒されただなんて」
マチはふぅっと短い溜め息をつく。
「そのたかが女の中に、俺は自分の存在意義を見出だしたんだ。世界に唯一無二の宝と一緒にな」
「…まさか団長の口からそんな言葉が出るとはね。でもなんか…」
マチは口をつぐんだ。
目の前にいるクロロは、今までと違い鋭さも迫力もない。
ただ穏やかで、静かだった。
だけど何故だかそんなクロロの姿を見て、嫌な気分はしなかった。
マチの心もまた、穏やかだった。
その時、シャルからクロロに電話が入った。
「団長ごめん!俺もリンの事が好きになっちゃった」
第一声、唐突な告白。
しかしクロロは驚く様子もなく、口を開いた。
「だから言ったろう?お前にもいずれわかると」
「ホントだね。やられたよ」
「で、どうするつもりだ?こんな勝ち目のない闘い、いつものお前なら回避するだろう」
側で聞いていたマチが、クロロの返答だけで内容を察し、呆れている。
「いや、もし俺がリンを落とせたらさ」
「絶対無理だな」
「まだわかんないよ?もし落とせたら…団長は許してくれる?リンが俺のものになる事」
「ああ。絶対に無理だからな」
その身を持って痛い程知っている、リンのクラピカへの想い。
クロロは迷わず断言した。
「よしっ!今の言葉忘れないでよ!俺、絶対落としてみせるから」
「まぁせいぜい頑張るんだな」
シャルとの電話を切った後、瓦礫の上でジッと考え込むクロロ。
「…シャルもなの?すごいね、その女。見てみたいよ」
「それは許さん」
「なんで?」
「これ以上あいつに面倒な想いはさせられん」
「……は……」
「団長命令だ」
「……調子良すぎ」
マチは眉間に深く皺を刻んでクロロを睨んだ。
シャルが一体リンに何をするつもりなのか……
クロロの懸念は胸に黒く広がっていった。
自分の気持ちを自覚し、クロロの許可も無事に得たシャルは、さっそくリンのもとへ向かった。
もちろんいきなり想いを明かすような無謀な事はしない
リンはクラピカに心底惚れている
まずはそれを壊す事だ
二人の信頼を崩し、自分の信頼を上げる
最初は友達でもいい
とにかくリンの心を開くんだ
傍にいて当たり前の存在になり、リンが辛い時に支える
クラピカの疑心を煽って二人に仲違いさせる
───焦りは禁物
今回は時間制限はない
団長のように失敗はしないよ
俺は絶対、諦めない!
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