愛について
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『シャルも人を好きになったら変わるかもなー。好きなコには優しくなるのかなぁ』
ふふっと声を漏らして笑うリン。
さっきまであんなに怒ってたのに…
シャルは自分のどの言葉がリンを笑顔に変えたのかわからず、戸惑いを隠せない。
『シャルの心を尊重してくれる、シャルの全てを大切にしてくれる人に早く出会えるといいね』
「さぁ…想像湧かないな」
『そのうち会うよ!思いがけなく突然に!』
私がクラピカと出会ったように
それはホントに奇跡が起きる瞬間なんだよ…
「リンはクラピカじゃないと駄目なんだ?」
『うん。クラピカが私を嫌いになっても私にはクラピカしかいないよ。
クラピカが死んだら私も死ぬ』
「こわ…」
『ほーら、やっぱり怖がってる!そんなんじゃないんだって!!まだわかんないかな~』
「いいよ、わかんなくて」
『でも知りたがってるじゃん。わかんなくていいなら今すぐ旅団に帰れ』
堂々巡り。
まったく、シャルはやりづらいな
でも少し人間らしいところもあるんだね
恋を怖がるなんて…
『シャル』
「ん?」
『シャルにも奇跡は起きるから!きっと!』
リンはそう言って、シャルの前ではなかなか見せなかった笑顔を咲かせた。
シャルは初めて見るその表情から目が離せず、ただひたすらリンに見入っていた。
そしてようやく納得したのだ。
クロロがこの娘に惹かれたことに。
『ま、人殺しとか盗みとかやめて早めに愛探しに切り替えたら?
シャルは多分、すごい愛してもらえると思うよ。そんじゃね!』
今度こそリンは振り返らずに行ってしまった。
黙って見送ったシャルは、一人その場に腰を下ろした。
ノストラードの広い庭の片隅、木陰で涼みながら晴れた空を見上げる。
どこまでも広がるこの青空のように、シャルの心も澄みわたっていた。
ようやく胸の中のシコリがとれた
団長があのコを宝だと言った訳
ようやくわかった
あんなに可愛い笑顔なのに、まるで刺すように人の心を射抜くんだ
確かに力に溢れてる
すごいパワーだ
その根底にあるのは──クラピカへの揺るぎない愛
「はは…やばい、予定外…」
手で額を覆い、シャルは渇いた笑いを漏らした。
絶対に有り得ないはずだった
まさか自分が────
信じられない
これから一体どうする?
活路の全くないこの状態をどう打破する?
昨日までとは全く違う自分になってしまった
落ちてしまうのは一瞬なんだな
シャルは冷静に自分の心を見つめ、飛び込んだ扉の先の景色に、目を細めた。
色付く世界
今までとは違う風の匂い
自分も生きているのだと知る
たかが心の一部が覚醒しただけで、何故こんなにも変わるのだろう───?
「…何者だよ、あのコは!」
大きな悔しさと、訳のわからぬ嬉しさが湧き上がる。
見上げた空にすら、あの輝く笑顔が浮かんでいた。
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