君を知りたい
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その日、クラピカは朝から、同盟を結んでいる組の幹部に商談に行っていた。
何とか話をまとめ、屋敷に戻ると、たまたま揃って客間から出てきたリンとシャルに遭遇した。
シャルがふざけるようにリンの肩に手を回し、笑っている。
「シャル…」
「あれ?クラピカ、おかえり!」
『あ、クラピカァ!!』
リンは人目も憚らずクラピカに飛び付いた。
「シャル、お前は辞めたとリンに聞いていたが…」
「ああ、辞めないよ?この仕事、意外と気に入ってるし。何よりリンと離れるのは寂しいし!」
『はぁ!?嘘つき!!』
リンのしかめっ面を見て、シャルは喜んで笑っている。
「…そうか。油断ないようボスの護衛に努めてくれ」
「はいはーい」
シャルは生返事を残してその場を後にした。
「…クビにしたのではなかったのか」
『…したけど…本人が嫌だって…』
げんなりと肩を落とし、リンは長い溜め息を吐いた。
「シャルの目的は何だ?」
『…………』
突然の核心をついた質問に、目を泳がせながら頭の中でうまい答えを考えるリン。
その表情から、思惑全てがクラピカにバレバレだ。
「正直に話せ。言わないならシャルに直接訊くだけだ」
『げ……』
リンは仕方なく本当の事を話した。
『…私の事、知りたいんだって』
本当の事なのだが、あまりに断片的で誤解を招きかねないリンの説明。
『いや、違う……ちゃんと理由があるんだけど…』
あ、やばい!
誤解されるのも嫌だけどそこから話が膨らむのもマズイ!!
「知りたいとは?何の為に」
『う、うん…えっと…』
クラピカは真摯にリンを見つめて答えを待つ。
…どうしようかな
何て言い訳しよう…
もう本当の事言っちゃうか……
私にはこの場をやり過ごす方法が見付からないよ
『…クロロがどうして私を好きになったのか、理由が知りたいんだって』
リンの口から出たその名前に、クラピカは一瞬にして顔色を変えた。
ハッと目を大きく開き、眉間に深く刻まれた皺。
緋色に宿る炎。
クラピカの頭の中に蘇る、様々な過去の光景。
しかし、クラピカはそれを鎮める為に、瞳を閉じて胸を落ち着かせた。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「…やはりシャルは蜘蛛の一員だったのか」
『う…ん…黙っててごめん…私も昨日知ったんだ』
クラピカの握られた拳が、ミシッと音を立てて軋んだ。
「…何としてでもシャルを辞めさせろ。いや、私が直接話をして辞めさせるから、お前は何もするな。
旅団の者と共に働く事は、断じてできない」
『わかった…本当にごめん……』
リンは自分を責めるようにギュッと目を瞑って唇を噛んだ。
口の中に微かに血の味がした。
私、どこまでバカなんだろ
クラピカは今すぐにでもシャルを殺したいくらい憎いだろうに……
でもその思いを私の前で押し殺した
あんな思いさせるなんて…
言っちゃうなんて、私はバカだ────!!
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