最悪の裏切り
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辺りには外灯ひとつなく、廃ビルに一歩足を踏み入れると、真っ暗で何も見えない位だ。
足音を殺す事もせず、豪快に靴音を響かせる。
慣れたような足取りで、迷わず地下への階段を見つけ、下っていくリンに、シャルは不思議に思いながらついていく。
そして地下へ下りきると、たったひとつしかない扉をノックもなしにバタンと開けた。
『たのもーっ!!』
シャルは驚いて一瞬手を掴みかけたが、間に合わずにその手をそのまま額に宛てた。
「(なんて怖いもの知らずな女……)」
リンの後ろからヒョコッと部屋の中を覗くと、相変わらず外観からは想像もつかないような立派な部屋の真ん中で、クロロはいつものソファーに座っていた。
「……珍しい客だ」
『久しぶりだね、クロロ。何してるかと思って遊びにきちゃった』
クロロは独りでウィスキーをボトルごと飲んでいた。
リンは向かいの椅子に腰かけ、テーブルの上に用意だけはしてあったグラスを手にして言った。
『付き合ってあげる。私にも一杯』
微かにクロロの眉が動いた。
リンを見つめる瞳に、僅かに戸惑いを映す。
………さぁ、クロロ
これが正念場だね!
クロロは言われるがまま、リンの持つグラスに氷を入れ、ウィスキーを注ぐ。
シャルは立ったまま腕を組み、その様子を見守る。
リンは注ぎ終わるのと同時にウィスキーをグイッと一気に飲み干した。
『……ぷは!ご馳走様!……う、まずっ……』
ワインや焼酎はいけるのに、ウィスキーは流石に苦手だったらしい。
「…で?何しに来たんだ?」
肘掛けに頬杖を付きながら、クロロは気だるそうに尋ねた。
『クロロってばさ、旅団を解散するとか言ってるんだってね』
グラスをテーブルに置いて、早速本題に入る。
『私のせいなの?』
「自分で決めた事だ。
しかし蜘蛛がなくなればてっきりお前は喜ぶかと思ったが?」
『個人的にはね。でも仲間はどうするの?今までクロロが除念済ませて帰ってくるの、ずっと待ってたんじゃないの?』
「そうだな。だがもう戻る気はない。奪ってまで欲しい物がもうこの世にはなくなった」
『盗賊をやるかやらないかよりもさ、仲間の元には帰ってあげた方がいいんじゃない?
あ、シャルも座りなよ。つっ立ってないでさ』
「いい、このままで。それより団長、ホントに皆待ってるよ。何度も言ってるけどフィンクスなんか毎日携帯鳴る度に"団長か!?"ってうるさかった。
とにかく一度アジトに顔くらい出してくれない?団長が辞めるって言ってるのは、俺とマチしか知らないんだ。とても皆には言えなくてさ」
そう話しながら、シャルは似合わないほど悲痛な顔をしている。
必死な思いが伝わってくる。
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