正体は…
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シャルはリンを後ろに隠し、前に出た。
『わ、何?私も行くって!』
「下がってろよ。俺だけで全然問題ないから」
そう言ってシャルも目の前の車の上に飛び乗った。
相手はガタイのいい中年の男。
太い腕で大きなブーメランを軽々と持ち上げている。
「多分操作系かな?あれを自在に狙った所へ飛ばせるんだろうな。ちょっと楽しそう…」
シャルは余裕で分析し、自分から攻撃をしかける為に飛んで行った。
相手は自分に向かって来る敵にブーメランを投げつけ、シャルはそれを難無くかわしている。
相手は小さなブーメランも大量に所持していて、それらを一気に投げつけた。
流石に前から後ろからブーメランが飛んで来てはシャルも辛そうだ。
しかしすかさず敵の懐に潜り込み、アンテナを刺した。
とりあえず動きを止めて一息つく。
そして敵が投げたブーメランが手元に戻ってくるのを見計らってシャルは飛び退き、ブーメランは敵の体に1つ残らず突き刺さった。
結局シャルはかすり傷一つ負わなかった。
『シャル、大丈夫?』
「見ての通りだけど」
本当に宣言通り、全然問題はなかった。
シャルはさっき、とっさに私を助けてくれた
何かに気を取られるとすぐに油断する悪い癖
シャルが助けてくれなかったらヤバかった
『シャル、ありがとう。ごめんね…』
リンは悲しそうな顔で謝った。
「なんでそんな顔するんだよ?怪我もなかったならよかっただろ?」
シャルは俯くリンの顔を下から覗き込んだ。
「リン?リンちゃーん?そっちこそ大丈夫?」
『ごめんね……』
「何で謝るの?リンは別に悪くないじゃん」
『…違うの。私……正直言ってシャルを疑ってたんだ』
リンは深く俯いたままシャルの顔を見ないで言った。
「疑うって何を?他の組から来たスパイだとか?」
シャルが茶化すように笑う。
『違う……シャルが私の命を狙っている奴らの一人なんじゃないかって』
リンがゆっくり顔を上げてシャルと目を合わせた。
シャルは真顔になっている。
『…でもさっきシャルは私が本気で危ない時に助けてくれた。だから違うよね…?』
悲しそうな声で、祈るような思いでリンはシャルに尋ねた。
「その命を狙ってる奴らって誰の事?もしそれが……」
リンの心臓がバクンと跳ねる。
いやだ……変な間を開けないで……すぐに違うと言って………
クラピカを
もう、脅かさないで……!
「もしそれが幻影旅団の事を言ってるなら、答えはイエスだよ」
──────!!!
リンは驚愕して立ち尽くした。
足が微かに震え出す。
『…まだ…私達を苦しめるの…?あんたたちは……』
今にも泣きだしそうなリンに、シャルは冷たく言い放つ。
「そんな事知らないよ。だってリンと俺は初めましてだったろ?
それに、苦しめられてるのはこっちだよ」
シャルは一歩リンに近付き、車を背にしているリンの横に両手をついて逃げ場を塞いだ。
そして、鋭い目で見下ろし、言った。
「そろそろ何とかしてもらわなきゃな…君に」
純粋に信じていた願いにも似た思いが、脆くも崩れ落ちた瞬間だった。
~続く~