正体は…
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シャルは「お先に」と言って、先に休憩室を出た。
二人きりになると、クラピカは横目でリンを見遣り、わざとらしく言った。
「よかったな。好きだと言われて」
『すっ…好きだと思う?シャルが私を!あんなの嘘っぱちだよ!』
リンは少し焦ったように否定した。
シャルには絶対何かある
私の事……
嫌いとかいう問題ではないのかも知れないけど
……1つだけ心当たりがある
蜘蛛──────!!
「…心配するな。お前にはもう誰にも手を出させはしない」
リンの深刻な横顔を見て、クラピカは不安を拭うようにその肩を抱いた。
『…うん、ありがと』
本当はクラピカもそう予感していた。
ヒソカから得た情報の中にシャルらしき人物はいなかったはずだが、全員の能力を聞いたわけではない。
"シャル"が本名かも判らない。
もしかしたら………
リンを護ると思ってはいても、離れている時間は手が届かない。
どうしてもそこはリンの実力頼みになってしまう。
「…もしも奴が本当に蜘蛛なら、仲間を殺したのは私だと言ってくれ」
『嘘はダメだよ』
「嘘ではないだろう。あの大男もパクノダも、殺したのは私だ」
『そんな事、私が言うわけない』
リンは眉を寄せ、軽く頬を膨らませた。
そして、すぐにニコッと満面の笑顔を見せた。
『大丈夫!二度とクラピカに心配かけたりなんかしないから!私は負けないよ』
「負けてもいい。逃げてでも、頭を下げてでも命を守れ」
『はぁい』
嫌だよ
クラピカの家族を殺した人になんか命請いはしない
そんな状況にならないようにする
私が大男を殺した事をもし知ってるなら、クラピカがパクノダを殺した事も知ってるはず……
絶対にクラピカを護らなきゃ
そして私も絶対死なない
クラピカの全てを護ってみせる!!
それから暫くたったある日、下っ端同士の抗争を止める為、リンとシャルの二人で現場へ向かった。
クラピカはまたもや忙しくなり、その日は別件を片付ける為、一緒にはいなかった。
『なるべく…いや、絶対殺さないでね!』
「さぁ、どうだろ?」
『約束だからね!』
リンは無理矢理シャルの手を掴んで指切りした。
『ゆーびきーりげーんまーん』
「それより急ぐぞ、ほら」
『は、そうだ!!』
二人は車で抗争の現場に駆け付けた。
街中にも関わらず、別のファミリーの下っ端数人と仲間が撃ち合いをしている。
一般人まで巻き込みかねない危険な状況。
リンは急いで仲間の元へ向かい、シャルは敵の方へ向かった。
『あのっ、私はボス直属の護衛団の者です!怪我はないですか?』
リンは護衛団の証であるバッジを見せて、抗争に至った流れを聞いた。
しかしハッと気付くと、道を挟んだ向かい側ではシャルが敵の一人を殺している。
『あー!!ダメって言ったのに!!』
リンは慌ててシャルの元へ走り、止めようとした。
───その時だった。
「リン、危ないっ!!」
『えっ?』
シャルがリンの頭を自分の胸に掻き抱き、覆い被さるようにして車の裏に隠れた。
そしてその頭上を猛スピードでブーメランが通過した。
「あー危なかった」
『び、びっくりしたぁ!シャルありがとう!』
二人は立ち上がり、ブーメランが飛んできた方向を見た。
すると、そこには敵の組に属している念の遣い手が、停まっていた車の上に立っていた。
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