正体は…
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
クラピカは読んでいた本をパタリと閉じて答えた。
「それは一向に構わない。どの道、今は護衛団の人数が奇数だ。
新しく仲間が入るまで、何かあればこの三人で行動しよう」
『クラピカぁ!!』
シャルの要望はすんなり通り、リンはガックリ肩を落とした。
それを見て、シャルはニコニコしながら嫌味な励ましをする。
「仮にもクラピカがいない時のリーダー代理でしょ?私情優先してたら仕事にならないよ?
ま、何かあったら多分俺が助けるから元気出して!」
ポン。
と肩を叩いた。
それはもう、とっても爽やかで素敵な笑顔で。
『…いらないよっ!!何かあればクラピカが助けてくれるもん!!』
子供みたいに吐き捨て、リンは意地悪くプイッと顔を背けた。
んー!むかつくっ!!
そりゃ仕事でもクラピカの近くにいれるようになって浮かれてたのは違いないけど……
…シャルはわざとだ
やっぱり私を嫌いなんだ
スッキリしないリンは、ちょっと悩んだ末にシャルに問い質した。
『ねぇ、前から思ってたんだけどアンタ私の事嫌いなんでしょ!?
なんで?私と気が合わないから!?てゆーかそっちの方がガキっぽいと思うんだけど!!
社会人なんだからその辺割りきって大人になってよね!!』
……問い質した……
と言うか、八つ当たり。
言った後はゼーゼー肩で息をしながら仁王立ち。
” シャルは私の事嫌いなの? ”
それだけ訊くつもりだったのに……
まだまだ冷えてない頭でも、まずったと思ったリンは、チラリとクラピカの顔を見た。
クラピカは……
う…冷ややかな視線でこっちを見てます……
「あははは!何それ!俺別にリンの事嫌いじゃないけど。
何、クラピカとの間に邪魔者が入っただけでそんな怒っちゃうんだ?」
シャルはお腹をかかえて笑いだした。
言われてみると今のリンは、クラピカとの間に割って入られただけでシャルに文句を言った嫌な奴状態。
…いやいや!違う!
私が訊きたかったのはシャルが私を嫌ってる理由だった!!
『ご…ごめん!違うの。今のはかなり言い過ぎでした!!
…あのさ、本当に訊きたかったのはね、シャルが何で私の事嫌いなのかなって。理由を知りたくて』
「だから嫌いじゃないって」
『…でも…私にだけいつも冷たいし…』
「そんな事ないって。そんな心配してた?」
『だって!二人でいてもすぐケンカになるし、最後は口も利いてくんなくなるじゃん』
「大丈夫だよ。ケンカする程仲が良いって言うだろ?」
『え…そんなもん?私達って仲良いの?』
「もちろん」
『……ご、ごまかしてない?』
「大丈夫だよ。俺は普通にリンが好きだし」
『…ふーん。好きか…よかった…のかな…』
「あははははっ!ほんっと面白いな~リンって!」
いまいち府に落ちない顔をするリンの頭を、シャルは笑いながらポンポンと撫でた。
一部始終を目の前で見ていたクラピカは、唖然としている。
まるでケンカしていた恋人同志の仲直りのような光景。
本来なら嫉妬してもおかしくはない場面なのだが、煙に巻かれた体で終わったリンが、実はシャルの分かりにくい仮面を見事に外し、打ち解けた様を目の当たりにして、不思議にも清々しい気持ちになった。
(本当にお前の天然は恐ろしい…)
クラピカは一人、クスッと笑いを零した。
・